阪神・西勇 医療機関へマスク4万枚寄贈「日本のために頑張ってやってくれている」

[ 2020年5月1日 05:30 ]

甲子園で自主練習を行う西勇輝(阪神タイガース提供)
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 阪神の西勇輝投手(29)が30日、甲子園球場施設での自主練習後にオンライン取材に応じ、大阪府と兵庫県の医療機関に計4万枚の医療用マスクを寄贈すると発表した。球団が社会貢献活動に尽力するなど野球人として優れた見識を持つ選手を表彰する「若林忠志賞」を昨年に受賞し、その活動資金を購入費の一部に充てた。

 新型コロナウイルスが感染拡大し最前線で闘う医療従事者のために「虎のエース」を継承する男が動いた。きっかけは、知人から聞いたという、切迫した医療現場の現実だった。

 「夜間は4人に1人がマスクを付けられない状況だとか、前の日や2日前に使ったマスクを除菌して使っているとか、本当に足りていないという話を聞いていましたので、早急に手配して、配りたいと思いました」

 リアルな声に突き動かされた。別の知人を介して医療用マスクを購入できる会社の存在を知り「医療現場に寄付したい思いが強かった」と4万枚の購入、寄贈を即決した。

 「(プロ野球選手は)目立つ職業ですから、一人でも多くの方に広める意味でも。誰か一人がやれば気付きになると思うので」

 プロ3年目だったオリックス在籍時の11年に先輩の近藤一樹(現ヤクルト)を見習い、恵まれない子どもたちへの寄付活動を始めた。阪神移籍1年目だった昨年も「日本財団子どもサポートプロジェクト」に70万円を寄付し、社会貢献並びにファンサービス活動においてプロ野球のパイオニア的存在であった猛虎のエースの大先輩である若林忠志の功績をたたえて命名された「若林忠志賞」を受賞。意思を受け継ぐように未曽有の事態にも動き、マスク購入費の一部に同賞の活動資金を充てた。

 寄贈したマスクは大阪、兵庫の医療機関に5月上旬に届き、主に手術用として活用される予定。「自分たちができないことを日本のために頑張ってやってくれている。自分たちはコロナにかからないよう、最善を尽くして頑張っていきたい」。尽きない感謝を、言葉に変えた。

 この日は甲子園球場施設での自主練習に参加しダッシュ、キャッチボールなどに精を出した。「(仕上がりは)80%はいってるんじゃないかと。残りの部分はバッターと対戦していないのでうまく言えないけど、順調です」。中心選手としての責務をグラウンド内外で果たし続ける右腕。見えない開幕に向けての準備にも、ぬかりはない。(巻木 周平)

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2020年5月1日のニュース