41歳誕生日弾――金本の、金本による、金本のための開幕戦

[ 2020年4月11日 05:30 ]

開幕よ、来い――猛虎のシーズン初戦を振り返る

09年4月3日、ヤクルト戦の3回、右中間に41歳の誕生日弾となる1号ソロを放つ阪神・金本
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 【2009年4月3日 京セラドーム 阪神5―2ヤクルト】まさに金本知憲のための開幕戦だった。41歳の誕生日に迎えた節目の一戦。初回1死一、二塁で初球を見送った後、石川雅規の2球目、内角低めに来たシュートを力いっぱい、ひっぱたいた。右翼線への先制二塁打だ。

 「ほとんど実戦をやらないままのぶっつけ本番で、1打席目からチャンスが回ってきて泣きそうな気持ちでした。ホッとしました」

 あとはもう自然体だった。3回、今度はスライダーを右中間席へ打ち込んだ。1998年以来、2度目のバースデー開幕に自ら祝砲を打ち上げた。「まぐれに近いです。まさか開幕戦でホームランが打てるとは思っていなかったので、ちょっとビックリしています」。14年に和田一浩(中日=41歳9カ月)に抜かれるまでセ・リーグ最年長の開幕戦アーチだった。

 巨人に13ゲーム差を逆転された前年秋、CS敗退も決まった直後に思ったことは「左膝をどうやって治そうか」ということだった。あと一歩のところまで優勝に近づきながら無念の結末。脱力感や徒労感を覚えても不思議でない苦境ですぐに次の年のことを考えた。

 07年秋に生まれて初めて手術を受けた。痛めていた左膝の内側半月板を約半分も切除。負傷を抱えながらの強行出場の末に傷ついていた関節の裏側も処理した。1年間の激闘を経て同じ左膝を再手術。2年連続の手術に加え、春季キャンプ後には右足内転筋を痛めてさらなる調整遅れを強いられた。

 オープン戦は9日前に初出場し、試運転は4試合だけ。それもDHと代打に限り、左翼守備には一度も就かなかった。シートノック初参加も開幕前日。ぶっつけ本番で当たり前のように「4番・左翼」に座り、先制の決勝打を含む2安打2打点の勇姿を見せた。新監督になった真弓明信から4番指名の“儀式”はなかったという。それだけ不動の存在だった。

 開幕から5日後の8日の広島戦、さらに一日空けた10日の巨人戦で3打席連発。月間2度はプロ野球史上初の快挙になった。改めて鉄人ぶりを見せつけ、連続フルイニング出場は右肩故障で途切れる翌10年春まで続いた。=敬称略=

 ▽2009年の世相 バラク・オバマが黒人で初の米大統領に就任(1月)、歌手のマイケル・ジャクソンが急死(6月)、民主党・鳩山由紀夫が内閣総理大臣に(9月)、初めての秋の大型連休「シルバーウイーク」(9月)【流行語】「政権交代」「こども店長」「新型インフルエンザ」【漢字】新

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