野球界に大きな影を落とす新型コロナ 関係者の思いが報われる日を願って

[ 2020年3月28日 10:30 ]

選抜高校野球の中止を発表する(右から)日本高野連・八田英二会長、丸山昌宏大会会長、斉藤善也・大会副会長(撮影・後藤 正志)
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 新型コロナウイルス感染拡大は野球界にも大きな影を落とした。

 アマ球界でも選抜高校野球の中止をはじめ、大学は全国でリーグ戦の開幕延期が相次ぎ、社会人でもJABA大会開催の見通しがいまだ不透明な状況。取材していても、前例のない判断を迫られる各連盟のトップの苦悩や事務方が奔走する姿を目にする。選抜高校野球の中止を発表した記者会見場では居合わせた大会関係者の目が一様に充血し、疲労の色が濃くにじむ表情に難局のすさまじさを感じた。

 特に難しいのは、一律の線引きがないことだ。現在はあくまで法規制ではなく各自治体が自粛を「お願い」している段階。それだけに、ある関係者は「日々の通勤電車は満員だったり、街中や商業施設には人があふれている。でもそこで検温などは実施していない。一方でスポーツやライブには徹底した消毒や検温が求められる。その格差が悩ましい」と明かした。感染者が出た場合に備え、最悪の事態の対応を何パターンも想定する必要がある。危機管理も求められるだけに各所の苦労は絶えない。

 かつて、日本野球連盟(JABA)の清野智会長はインタビューでこんなことを語っていた。会長は11年の東日本大震災当時、JR東日本の社長を務め「一番やらなきゃいけなかったのは新幹線を筆頭に元の姿に戻すということだった。グループを含めて復旧させ、50日目で全線再開。動き出した時“ありがとう、ご苦労さん”という言葉を言って通ってくれた地元の方々がいた。そういう言葉をかけられて現場の若い社員は感激していたし、使命なんだと再認識した」。自身の故郷も甚大な被害を受ける中、日本の大動脈を支える鉄道会社のトップとして「国難」に直面した会長の言葉には重みがあった。

 今回は大震災と全く状況は異なる。しかしドイツのメルケル首相が国民に向けたテレビ演説で、治療にあたる医療従事者やスーパー関係者に謝辞を述べるなど、未曾有の事態の裏側には様々な対応に奔走する人々がいることは変わらない。

 何時も人命が最優先であり、今は競技イベントを開催できる状況ではない。だが、アマ球界でもファンや選手、チームのために走る人たちの思いがいずれ報われる日が来ることを願う。(記者コラム・松井 いつき)

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