コロナ禍でも“希望の光”はある…開幕後のヤンキースが示してくれるであろう可能性

[ 2020年3月26日 09:30 ]

ヤンキースの田中将大
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 コロナ渦でスポーツイベントが消え、米国全体が不穏な空気に包まれている。感染者が急増しているニューヨーク、カリフォルニアといった州でも、既に外出制限が発令された。今はスポーツの開催など検討できる状況ではなく、大リーグの開幕はしばらく先だろう。筆者の住むニューヨークでもまともに外に出ることもままならないだけに、気分が暗くなっている人は多いに違いない。

 ただ、英語の「Every cloud has a silver lining(どんな困難の中にも希望の光はある)」という言い回し通り、この残念な状況下でもそれぞれの形で“救い”は見出せるのではないか。外出禁止令のおかげで家族との時間が手に入ったり、これまでできなかった勉強ができるという人もいるかもしれない。普段は当たり前に思ったことの大切さに気づき、復興後へのモチベーションになるという人もいるだろう。

 そして、ニューヨークの象徴であるヤンキースにとっては、現実的にこの状況が少なからずプラスに働く可能性はある。今季は前評判が高かったが、春季キャンプの時点で故障者が続出していた。スラッガーの揃った打線から、スタントンが右ふくらはぎのケガ、ジャッジが右肋骨の疲労骨折で離脱。ヒックスも昨季終了後に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けており、このままいけば外野のレギュラーが全て不在のまま開幕に臨むところだった。

 先発投手陣の厳しさは野手以上だった。昨季15勝を挙げた左腕パクストンが2月に腰の手術で離脱したのに続き、一昨年19勝のセベリーノは右肘のトミー・ジョン手術を受けて今季絶望。昨季18勝のヘルマンも家庭内暴力による出場停止で今季最初の63試合は登板できないこともあって、先発ローテーションは完全にコマ不足になっていた。新加入のコールとともに、田中にかかる負担も大きくなっていたことだろう。

 ところが、今回のコロナ渦で状況は一変する。現状、2020年のシーズン開幕は早くて6月だと目されている。その目論み通りだとすれば、スタントン、ジャッジ、パクストンはスタートに間に合いそう。ヒックスも6月~7月には戻れそうとのことで、結果として、ヤンキースはセベリーノを除けば、ほぼベストに近い形で開幕に臨める可能性が高い。特に肝心な先発投手陣に、コール、田中、パクストン、ハップという実績あるメンバーが揃うことの意味は大きいはずだ。

 新型コロナウイルスの影響で多くの死者が出ている現状で、“おかげで助かった”などと言いたいわけではもちろんない。MLBも通常通りの日程で始められるに越したことはなく、その思いは故障離脱中の選手も同じだったはずだ。2020年に球界が受けたダメージを全て計り知ることはしばらくできそうもない。

 ただ、どんな状況でも、可能な限りポジティブな姿勢を失わずにいたいもの。健康な者たちが先へ進もうとする姿勢が、より明るい未来につながっていくに違いない。

 今後、大リーグが開幕できたとして、少しずつ日常を取り戻していく中で、2001年の米同時多発テロ事件直後同様、ニューヨークではヤンキースの活躍に期待が集まることだろう。19年前と同じように、今夏以降にヤンキースが勝ち進めば人々に明るいニュースを提供できるかもしれない。ジャッジ、パクストンといったケガから立ち直った選手たちの頑張りが、復興のシンボルになっていくかもしれない。これからコロナの被害拡大が予想される中で、まだ気が早すぎるとしても、そんな日が1日でも早く来ることを祈るような気持ちで待ちたいところだ。(杉浦大介通信員)

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