センバツ中止 仙台育英・田中主将の“言葉”“姿勢”に感じたチームの真の強さ

[ 2020年3月21日 09:15 ]

仙台育英・田中祥都主将
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、19日に開幕予定だったセンバツが史上初の中止となった。中止が決定した11日、仙台育英の取材に行った。球児たちのショックの大きさは計り知れない。どんな表情で、どんな言葉を語るのだろうか。報道陣にも緊張感があった。

 田中祥都主将(2年)は意外にもすっきりとした表情で現れた。さらにその第一声に驚いた。「まずは、ここまで前向きに尽力くださったことに感謝したい」。気持ちの整理がつかず言葉が出てこないのでもなく、悔しさを前面に押し出すのでもなかった。真っ先に出たのは、ぎりぎりまで開催の可能性を懸命に探った関係者への感謝の言葉だった。

 仙台育英は秋の東北大会で優勝し、優勝候補にも挙げられていた。中止を知らされてからわずか1時間足らずでの取材対応だったが、動揺した様子は見られず「必要なことしか起きないと思っています。選手たちの全員の顔をしっかり見て話をしたい」と前を向いた。

 もちろん心中はいろいろな感情が入り交じっていたと思う。それでも冷静に受け止めようと努める理由があった。田中は「今日は大切な日でもある」と言った。当日は3月11日。宮城で、東北で暮らす人々にとって忘れてはいけない、忘れるはずもない、東日本大震災が起きた日だ。須江航監督は「今日は怒ったり気分を荒らげたりする日じゃない。どういう結果になっても心穏やかに受け止めよう」と選手たちに言い聞かせてきた。

 無観客開催なのか、中止なのか。事態が不透明の中で、ナインは大会に向けていつも通り集中して練習に取り組んでいた。指揮官は「立派だった。さまざまな感情があったと思うんですけど、目の前のことに集中してよくやったと思います」と生徒の頑張りに目を細めた。その上で、「高校生ですから、感情をそのまま素直に表現してもらって、そこに寄り添っていきたい。悔しさを我慢する必要はない」と気遣った。だが、田中の視線はすでに先を見ていた。

 「この経験を踏まえて、夏に向けてどういう風にチームをもう一度、一つの方向に進めていくのかが大事になってくる。主将として責任を全うしていきたい」

 主将の澄んだ瞳が、このチームの真の強さを物語っていた。(記者コラム・岡村 幸治)

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