長嶋さん 守道さん悼む 思い出の10・8決戦「胴上げをじっと見つめていた表情は忘れられません」

[ 2020年1月19日 05:30 ]

巨人・長嶋監督(右)と話す中日・高木監督
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 急性心不全で17日に死去した元中日監督・高木守道氏(享年78)の訃報から一夜明けた18日、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)が球団を通じて追悼のコメントを発表した。今なお語り継がれる94年の「10・8決戦」でそれぞれのチームを率いた指揮官。ミスターだけでなく、故人をしのぶ多くの声が寄せられ、球界は深い悲しみに包まれた。

 また一人、戦友がこの世を去った。「野球界にとって貴重な人材を失い、残念です」――。長嶋氏は球団を通じて高木氏へ哀悼の意を表した。運命の糸。2人にとって切っても切り離せないのは、ミスター自ら「国民的行事」と称した94年の「10・8決戦」だ。

 巨人と中日が69勝60敗で並び、シーズン最終戦の直接対決は巨人が6―3で制した。勝者と敗者のコントラスト。歓喜の胴上げで宙を舞った長嶋氏に対し、高木氏はナゴヤ球場の一塁ベンチで唇をかみしめていた。「監督時代は何といっても、互いに死力を尽くした1994年の10・8決戦です。巨人の胴上げをじっと見つめていた(高木氏の)表情は忘れられません」。ミスターはそう言って26年前を振り返った。

 出会いは高木氏が県岐阜商1年の時。ともにプロ入りする前だった。「私が立教大生の時に県岐阜商高に野球を教えにいった際、守備がうまく、足も速くて、凄い選手がいるなと思ったことを今でも覚えています」。才能を見抜き、遊撃から二塁転向を勧めたのも長嶋氏だった。高木氏は60年に中日に入団。「中日のスタメンに名を連ねているのを見て、すぐに分かりました」。戦いの場はプロの世界へと移った。

 巨人と中日ではともに内野手。お互いに名手としてファンを大いに沸かせた。「華麗なバックトス、対戦相手にとっては嫌なしぶといバッティングで中日を代表する選手になりました」と長嶋氏。ミスタージャイアンツと、ミスタードラゴンズ。指揮官として雌雄を決した10・8決戦は、永遠にファンの脳裏に刻まれるだろう。

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