ヤクルトのドラ1・奥川に大先輩ゴジラの道 “バイブル”持参入寮

[ 2020年1月6日 05:30 ]

入寮したヤクルトの奥川は星稜・山下名誉監督から贈られたヤクルト・野村元監督の著書や、山瀬との星稜バッテリー時代のイラストを手に笑顔を見せる。右はクラスメートとの記念写真(撮影・村上 大輔)
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 ゴジラの道を歩む。ヤクルトのドラフト1位・奥川恭伸投手(18=星稜)が5日、埼玉県戸田市の寮に入った。母校の大先輩で巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(45=ヤンキースGM特別アドバイザー)と同じように山下智茂名誉監督(74)から本をもらい、持参した18歳。ヤクルト元監督の野村克也氏(84)の著書から「ID野球」を学び、プロの世界で飛躍する。

 学生服に身を包み、奥川は緊張気味ながらも、笑みを浮かべてテレビカメラ8台、報道陣約40人が待つ寮の玄関に姿を現した。昨季まで5年目の広岡が使っていた402号室に入ると、まずはベッドに腰を落ち着けた。

 「凄くワクワクしています。いよいよ始まるという気持ち。一人暮らしは初めてで、ドキドキしながら正月を過ごしました。初めてのことばかりだけど、しっかり投げて充実した一年にしたい」

 生まれてから18年を過ごした石川と、親元を離れることに寂しさや不安はある。それでも感傷に浸っている暇はない。プロで成功するために、バッグの中には恩師からの贈り物をしのばせていた。

 故郷を離れる前、星稜の山下名誉監督から3冊の書籍をもらった。母校の大先輩である松井氏もプロ入り後、毎年、本をプレゼントされていた。日米通算507本塁打を放ち、国民栄誉賞も受賞した大打者と同じ儀式を経て、訓示も受けた。「“厳しい世界だぞ。耐えて頑張るんだぞ”と言われました」。一層、身が引き締まった。

 その中の一冊にヤクルトの元監督で90年代に4度のリーグ制覇と3度の日本一に導き、黄金時代を築いた野村氏の著書「野村克也 野球論集成」があった。奥川は同氏について「野球以外の勉強もたくさんされている凄い方だと思う」と目を輝かせた。高津新監督も薫陶を受けた野村氏が、現役時代から配球などの理論を書き留めたものが詳細に明かされており、最速154キロ右腕にとって、プロで生き抜くためのバイブルとなるはずだ。

 他には1979年の夏の甲子園で延長18回の死闘を演じた星稜―箕島戦を描いた「神様が創った試合」と「10代のための人間学」を持ち込み、プロとして、社会人としての心構えを養っていく。あす7日からは新人合同自主トレが始まる。「しっかりメニューを消化しながら、ケガをしないようにしたい」。心身ともにプロ仕様にして、目標であるヤクルトのエースへの階段を上っていく。 (黒野 有仁)

 ≪山下監督から松井への本プレゼントは恒例≫松井氏は巨人に入団した93年以降、年末年始は必ず石川県に帰省。母校・星稜を訪問し、山下智茂監督(当時)から激励を受けた。固い絆で結ばれた師弟。巨人時代はもちろん、それはメジャー移籍後も変わらず、ヤンキース移籍を決めた直後の03年の正月には「アメリカでも頑張れ」と、プロゴルファー・丸山茂樹や大リーガーをテーマにした本4冊をプレゼントされた。10年にはイチロー関連の本を2冊。少しでも松井氏の成長の手助けになれば、との愛情のこもった贈り物だった。また、メッセージの言葉が書かれた年賀状を手渡されるのも恒例行事。巨人時代には「3冠王」、「55本塁打」など目指すべき目標で激励されるのが常だった。

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2020年1月6日のニュース