シドニー戦士の4ショット

[ 2019年12月15日 11:31 ]

日本製鉄かずさマジックの新監督に就任した渡辺氏(左から2人目)を取り囲むシドニー五輪戦士の面々。(左から)NTT東日本・飯塚監督、太田垣日本野球連盟副会長、東芝・平馬監督
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 【伊藤幸男の一期一会】今月4日、都内で開催された社会人野球関東連盟納会で貴重な4ショットに遭遇した。日本野球連盟・太田垣耕造副会長(70)を中心に「ミスターサブマリン」渡辺俊介氏(43)、強肩堅守の遊撃手としてアマ球界の王道を歩んだ平馬淳氏(44)、1メートル63ながらフルスイングを貫き通した飯塚智広氏(44)…。2000年シドニー五輪代表監督と主力選手だ。

 くしくも2日前に渡辺俊介氏が古巣の日本製鉄かすざマジック監督に就任。ロッテで通算87勝の右腕は、新米指揮官として「よろしくお願いします」とあいさつ回りに東奔西走していた。飯塚氏はNTT東日本監督として一昨年夏の都市対抗を制覇。平馬氏も西武ドラフト1位・宮川哲(24)中日同3位・岡野祐一郎(25)両投手を擁し、東芝を今夏同大会4強に導いた。20年前は「日の丸」を背負い、世界相手に戦ったナインが社会人野球を引っ張る存在に成長していた。

 その光景を優しく見守っていたのが太田垣氏だ。「仲間が続々指導者になっていく時代になった。大変だけどな」。かつての監督として何かアドバイスは?との質問には「聞かれれば答えるけど…。本音はなかなか言わないんじゃない」と一流選手ならではのプライドを慮った。

 1週間後の11日には唯一のプロ・アマ混合軍となったシドニー五輪代表による「シドニー会」が都内で開催され、元ロッテの黒木知宏氏(45)ら11人が参加した。渡辺氏も会終盤に顔を出し、旧交を温めた。

 野球、特に社会人を取り巻く環境は年々厳しくなっている。その逆風に40代前半の指導者が立ち向かう。並大抵のミッションではないが、修羅場を乗り越えてきた経験値があるからこそ、大役を引き受けたのだ。勝負事は結果で判断されがちだが、地域や応援団に後押しされ、現場のトップを全うする「選ばれし者」の生き様にスポットを当てたい。

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2019年12月15日のニュース