オリックス一筋14年 岸田 指導者としてVの夢後輩に託す

[ 2019年12月2日 09:00 ]

決断2019 ユニホームを脱いだ男たち二(2)

投手としてあらゆる場面で仕事を果たした岸田
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 引退会見に臨んだオリックス・岸田の表情はすがすがしかった。「今の率直な心境としてはすっきりしています。悔いがないかといえばゼロではないですが、やりきったという気持ちがあります」。オリックス一筋でプレーした14年間は濃密な時間だった。

 NTT西日本から05年の大学・社会人ドラフト3巡目で入団。球速以上に伸びのある直球を武器に2年目の07年から1軍に定着すると、チームを支える象徴的な存在となった。09年には先発として10勝をマーク。11年には守護神として33セーブを挙げ、優勝争いを演じた14年は中継ぎとして55試合に登板し、4勝12ホールド。あらゆるポジションで仕事を果たした。だからこそケガにも泣いた。引退の原因も蓄積した疲労からくる負傷だった。

 今季、春季キャンプ中に腰痛を発症した。元々、首を傾ける独特の投球フォーム。直球を生かすために行き着いたフォームが腰への負担を大きくし、やがて痛みは首や内転筋にも広がり、フォーム改善を余儀なくされた。夏場まで2軍戦でも投げられず、ブルペンで試行錯誤する苦しい日々。それでも腐らず、諦めず「ただただ、もう一度、良い球を投げたい」と練習し続けた姿に若手も感化された。選手全員が見守った引退試合のスピーチは感動を呼んだ。

 「これからオリックスは強くなります。長い長いトンネルを抜けようとしています。絶対に強くなります。これからのオリックスは面白いです。その先、頂点へ導いてくれるのはいつも熱い声援を送ってくれるファンの皆さんです。ファンの皆さんが、このチームを優勝させます。選手は応えます。これからも末永くオリックスをよろしくお願いします」

 後悔があるとすれば「優勝できなかったこと」。その夢は後輩に託した。今は後輩の背中を押すべく、秋季キャンプからは2軍投手コーチとして指導に当たっている。「今の若い選手は、入ってきた頃から今の僕よりも上にいるので、逆に勉強させてもらったことが多い」。教えるというよりも、自らも学ぶ姿勢で選手に寄り添う。そして、同じ夢を追う。 (鶴崎 唯史)

 ◆岸田 護(きしだ・まもる)1981年(昭56)5月10日生まれ、大阪府出身の38歳。履正社では1年夏に甲子園出場も登板機会なし。東北福祉大、NTT西日本を経て05年大学・社会人ドラフト3巡目でオリックス入団。10年からリリーフに転向し、11年はリーグ2位の33セーブ。通算433試合で44勝30敗63セーブ63ホールド、防御率2・99。1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

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