悲喜こもごも――プロ野球契約更改には名言・迷言がいっぱい

[ 2019年11月30日 09:00 ]

契約更改交渉を終え、写真撮影に応じる日本ハム・吉田輝
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 【君島圭介のスポーツと人間】人生初の契約更改交渉を終え、「凄い汗が出た」と苦笑いしたのは日本ハム・吉田輝だ。高卒1年目、まだ18歳が球団の「お偉いさん」と机を挟んでお金の話をするのだからマウンドとは勝手も違う。ちなみに吉田輝は30万円増の年俸1030万円でサインした。

 思わず「マジっすか」と漏らしたのは自身最多7勝を挙げた広島・床田。2050万円増の2700万円と大幅昇給でピッチングと同じく喜びの表現も直球勝負だ。

 年俸は選手のオフの過ごし方にも影響が出る。右肩痛で不本意なシーズンを送った中日・木下は現状維持の700万円でサイン。昨オフは米国でトレーニングしたが「今年、稼いでないので。活躍して稼いだら行く予定でした。来年は稼いだら行きます」と、国内残留に切り替えた。

 契約更改では私生活をのぞき見ることもできる。DeNA・神里はほぼ倍増となる2290万円増の4790万円でサイン。退寮したばかりで「(新居の)家具、家電をそろえたい。昨日、段ボールの上で食べたので…」とぽつり。ハマのイケメン外野手が段ボールをテーブル代わりに使っていたとは。

 言葉のセンスを感じさせたのはオリックス・宗。100万円増の1900万円でサインし、「来年は自分に負けない自分でありたい」。決意がにじみ出る。

 性格もにじみ出る。4年契約の3年目である楽天・岸は現状維持の3億円でサイン。相次ぐ故障で3勝に終わった責任から球団に「今年は何もできなくて、すみませんでした」と伝えたという。ファンや監督、チームメートに謝るケースは多いが、球団にも成績を謝罪する誠実さも岸らしい。

 同じ楽天でこちらも人柄が伝わるのは1億円プレーヤーの仲間入りをした島内だ。「びっくりしました。こんなにいらないな、と思った」。攻守の要として仙台の人気者となった今もシャイな性格は変わらない。いらないのはお金じゃなくてメディアの注目の方だろう。

 契約更改の席は年俸の話だけではない。例えば日本ハム・堀は来季はリリーフで登板したい意思を球団に伝えた。「中継ぎの人が(ブルペンから)出ていくのを見ていたらキラキラしていて、あっちの方が楽しそう」。

 ハプニングもあった。一部のロッテ選手は寮で契約更改を行った。4年目の原が練習着のまま交渉の部屋に向かった。「(成田)翔が今年はジャージでいいって…」。同い年の成田のいたずらにだまされ、慌ててスーツに着替えた。ちなみに現状維持の500万円で無事更改した。

 最後は我々、報じる側のお約束のフレーズ。このコラムの年俸も推定です。(専門委員)

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