巨人・坂本がMVP初受賞、ルーキー時代に予言した番記者に脱帽

[ 2019年11月27日 11:25 ]

最優秀選手賞を受賞し、レッドカーペットを歩いて壇上に向かう巨人・坂本勇人(代表撮影)
Photo By 代表撮影

 「常に何かを求めていれば、自分でも不可能だと思っていたことが可能になった」。プロ13年目で初めてMVPを受賞した巨人の坂本勇人内野手(30)はそう言った。打率・312で、キャリアハイの40本塁打、94打点を記録。5年ぶりのリーグ優勝に導き、文句なしの受賞だった。

 今後行われる契約更改交渉では、年俸5億円からの大幅アップは必至だ。今季、6億5000万円で球界トップだった同僚・菅野に迫るだろうし、巨人の野手では歴代トップとなる松井秀喜の6億1000万円を上回ることは確実だろう。

 「ゴジラ超え」――。巨人の顔として、ふさわしい言葉の響きだ。先見の明があったことを思い出す。12年前の07年。当時、巨人キャップだった私は東京六大学野球出身の後輩記者に今季のイチ推し選手を聞くと、坂本勇を強く推された。外れ1位で入団した高卒1年目の遊撃手。「まだまだ線が細い。出てくるまで何年もかかるぞ」と言うと「いや、すぐに出てきますよ。2軍に来て見てくださいよ。MVPを獲るぐらいの凄い選手になります」と強い口調で言われた。確かに体にバネがあり、センスも感じる。小学生時代に田中(ヤンキース)が捕手で、投手が坂本勇だったことも、うなずけた。

 後輩記者の言う通り、すぐに頭角を現わした。1年目の9月に放ったプロ初安打が決勝打。2年目の08年には故障した二岡に代わって遊撃のレギュラーに定着し、全144試合に出場した。その後も着実に成長。13年目の今季、最も驚かせたのは本塁打を量産したことだった。数年前から長打力を課題に練習に取り組み「今年は試合の中でも遠くに飛ばすことを意識した結果」と振り返った。その向上心には恐れ入る。

 通算2000安打にも残り116本まで迫り、天才打者・榎本喜八が持つ31歳7カ月の史上最年少記録も視界に捉える。今オフは、ポスティングシステムでDeNA・筒香、巨人・山口、広島・菊池涼、海外FA権を行使して西武・秋山がメジャー移籍を目指している。国内のプロ野球はさらに空洞化が進むが、坂本勇にはずっと「日本球界の顔」でいてほしい。(記者コラム・飯塚 荒太)

続きを表示

2019年11月27日のニュース