奥川、メジャー「挑戦したい」ヤクルトと満額仮契約 佐々木に勝って侍入り&沢村賞だ

[ 2019年11月26日 05:30 ]

背番号11を色紙に書き笑顔の奥川(撮影・後藤 大輝)
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 ヤクルトからドラフト1位で指名された星稜・奥川恭伸投手(18)が金沢市内で入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1600万円で仮契約を結んだ。背番号は11に決定。プロ設計として、ロッテにドラフト1位指名された大船渡・佐々木朗希投手(18)に投げ勝つ、沢村賞獲得と日本代表入り、将来的なメジャー移籍の希望を口にした。12月3日に都内で新入団選手発表会が行われる。

 金びょうぶの前に座った奥川の表情は、りりしさを増した。超高校級と評される右腕はテレビカメラ6台、報道陣約50人の前で、将来的なメジャー挑戦の意向を問われると「まだそこまで考えられない」と前置きしながらも、はっきりと答えた。

 「目標の一つとしてやっていければ。挑戦したい気持ちはある」

 今夏のU18W杯では日本代表のエースとして、カナダ戦で7回18奪三振を記録するなど活躍した。世界で戦った経験が、世界最高峰の舞台への夢を抱かせたことは容易に想像できる。レベルアップにヤンキース・田中やエンゼルス・大谷らの投球動画もチェックしてきた。「尊敬する人はたくさんいますが、同じ星稜の松井秀喜さん。真摯(しんし)に野球に取り組んでいると聞き、そういう選手になれるように」。母校の偉大な先輩も日本球界で実績を積み、ヤンキースに移籍した。

 「世界基準」になるべく、自身への将来設計も明確だ。まず同世代のライバルに負けない。中でもU18日本代表の同僚でロッテのドラフト1位・佐々木とは最近も連絡を取り合う仲だが「ずっと追いかけていきたい存在。球速もそうだが、凄いと思った選手の一人。投げ勝ちたいという思いが強い」と語った。リーグが異なり、対戦は交流戦や日本シリーズに限られるが、同じ舞台で投げ勝つことを目標に掲げた。

 さらに「U18では思うような結果を残せなかった。代表のトップチームに入って活躍できるような投手になりたい」と言い切った。プレミア12で優勝した侍ジャパンの戦いもテレビ観戦。再び日の丸を背負い、世界で戦う自身を思い描く。獲りたいタイトルについても「投手として評価されるのは沢村賞。目標は高い方が良い」と話した。

 球団の高卒新人では07年高校生ドラフト1巡目で仙台育英から入団した由規以来、12年ぶりの満額契約。背番号は11を背負う。

 「偉大な先輩がつけてきた番号。ふさわしい投手になれるように頑張りたい。(契約についても)期待に応えられるように努力していきたい」

 来年1月上旬に埼玉県戸田市の選手寮に入寮し、新人合同自主トレに臨む。球団は奥川専用の育成プログラム作成にも着手する。規格外の存在へ。奥川の目線は真っすぐに先を見据えている。(黒野 有仁)

 《出来高に異例の最長5年条項》○…出来高払いには最長で5年間という異例の長期にわたる条項も付いた。具体的な項目の中身については明かさなかったが、橿渕聡スカウトグループデスクは「いわゆる即戦力という形での(出来高の)契約ではない」と話した。1シーズンでの出来高で奥川にプレッシャーをかけるのを避け、中長期にわたって目標設定できるように工夫を凝らしたもようだ。

 《契約金&年俸最高条件 球団12年ぶり》○…契約金、年俸ともに最高条件で入団した高卒選手は昨季の根尾(中)、藤原(ロ)まで過去16人。奥川(ヤ)は17人目で、ヤクルトでは07年佐藤由規(現由規=楽天)以来12年ぶり2人目となった。

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