中日育成1位・松田「いっぱい投げちゃったなぁ」 163球13K熱投で“置き土産”2部昇格

[ 2019年11月4日 19:41 ]

2019年度愛知大学野球秋季リーグ 2部3部入替戦   名古屋大8―6名古屋経済大 ( 2019年11月4日    パロマ瑞穂 )

<名古屋経済大・名古屋大>2部昇格を決めマウンドで喜ぶ名古屋大・松田亘哲(左)
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 秋の陽だまりの中で、最上級の笑顔がはじけた。中日に育成ドラフト1位で指名された名古屋大のエース左腕・松田亘哲(ひろあき)投手(4年=江南)が4日、1勝1敗で迎えた名古屋経済大との入替戦に先発。9回163球を投げ6失点(自責0)で18年春以来4季ぶりの2部昇格に導き、去りゆくチームへ最高の置き土産を残した。

 「最後まで粘り切ることができたので、粘り勝ちです。低めにいこうという中で、うまく打ち取ることができました」

 3点リードの3回、先頭打者の出塁を許すと、味方の失策や3連打などで5点を奪われ逆転された。だが、味方が4回にすぐさま1点を返すと、松田の気持ちは楽になった。「まだチャンスはある。ウチに流れがくる」。4回を無安打で切り抜けると、5回に打線が一挙4点を奪って再逆転。最終回には先頭打者を失策で出し1点を失ったが、低めへの直球が効果的に決まり、毎回の13奪三振で要所を締めた。163球の熱投で、初戦の完封と合わせて3日間で18イニングを投じたのは「初めて」というが「いっぱい投げちゃったなぁぐらいの感覚。肩肘にはきていなかったので、まだいける」とタフネスぶりは頼もしい限りだ。

 国立大の元バレー部という異色の経歴も手伝って、注目度は日増しに高まる一方。地元名古屋の放送局がドラフト翌日の朝の情報番組でさっそく特集すれば、その翌日に行われた名古屋大の一般開放のイベント「ホームカミングデー」では、同大出身の女子マラソン東京五輪代表に決まっている鈴木亜由子(日本郵政グループ)と並んで、等身大パネルが飾られた。この日も試合後に記念撮影を待つファンの列ができた。「プロになるってこういうことなんですね」と驚きを隠せないが「自分は育成ですし、経歴で注目されているのは自覚しています」と浮かれることは決してない。

 大学生活でやり残したことを問われた左腕は「卒業できれば悔いはないです」と野球に関してはやり切った様子。3部リーグの最後列から、プロ野球という最前列へ。「下半身も上半身も、ひとまわりもふたまわりも足りない。プロの練習に耐えられるだけの食事とトレーニングはきっちりやって新人合同自主トレに臨みたいと思います」。どこまでも落ち着き払った22歳は、ただ前だけを見据えていた。

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