阪神 北川新打撃コーチ 「ミラクル男」育成3カ条伝授へ

[ 2019年10月26日 05:30 ]

指導者として19年ぶりに阪神に復帰となり、トレードマークの笑顔全開の北川打撃コーチ(撮影・北條 貴史)
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 阪神は25日、球団OBで前ヤクルト2軍打撃コーチの北川博敏氏(47)の打撃コーチ就任を発表した。近鉄時代の2001年に「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打」を放った北川コーチは西宮市内で就任会見を開き、自身のような「ミラクル男」育成へ3カ条の心得を若虎に伝授する意気込みを示した。1、2軍の振り分けは未定で、背番号は80に決まった。

 あのスマイルがタテジマに帰ってきた。少しふっくらした体で19年ぶりに古巣復帰した北川打撃コーチは「こんな体形ですが身の引き締まる思いです」とまずはひと笑い。94年ドラフト2位でプロ入りした球団に「ミラクル男」と呼ばれた自身のような勝負強い打者の出現を期待した。

 「もう18年前ですか。ちょっと(印象が)薄れかけていますが、あれは僕にしかできないことなんで。でも、そういう場面で活躍できる選手を育てていきたいなと思います」

 ジョークを交えながらの会見は、自身も周囲も笑顔全開。北川コーチのもう一つの代名詞が、あの劇的過ぎる一発だ。近鉄時代の01年9月26日オリックス戦。勝てば優勝が決まる最終戦で2―5の9回無死満塁で代打で出場した。当時の梨田監督が「アイツしかいない」とその勝負強さにかけた起用が見事的中。中堅左への「代打逆転サヨナラ満塁弾」を放ち、全国にその名をとどろかせた。
 一方で、阪神は好機であと1本が出ないのが積年の課題だ。自身のようにここぞで頼れる打者の育成は急務。掲げたのが3カ条の心得だった。

 (1)マスコミを味方につけろ
 「もともと僕もチャンスで弱い人間だった。特に阪神時代なんか。それがちょっと打てばこうなる。マスコミを味方にするのが一番。チャンスで打ってマスコミが“すごいぞ”となれば、そこから調子に乗ればいい」

 (2)自分で自分の長所を見つけろ
 「他チームに行ってから、もっと自分で考えて野球をやらないといけないなと思った。選手に一番言いたいのは“正解はない”。自分で考えて自分に良いものを見つけないといけない。その中で僕らができるのがちょっとしたアドバイス」

 (3)無駄なアウトをなくせ
 「取れる時にしっかり点を取る。無駄なアウトにならない、意味のあるアウトというのもすごく大事と思う。そういう意識を選手に植え付けていきたい」

 阪神で同僚だった矢野監督からは直接電話をもらい「尊敬する先輩」からの就任要請を快諾。1、2軍の振り分けは未定ながら、明るく情熱的な指導で「ミラクル男」の後継者を育てる。
(山添 晴治)

 ◆北川 博敏(きたがわ・ひろとし)1972年(昭47)5月27日生まれ、兵庫県出身の47歳。大宮東、日大を経て94年ドラフト2位で阪神入団。00年オフにトレードで近鉄へ移籍。01年9月26日のオリックス戦でリーグ優勝を決める代打逆転サヨナラ満塁本塁打。近鉄の消滅に伴い05年オリックスに移り12年現役引退。通算成績は1264試合、打率・276、102本塁打、536打点。13年からオリックスで打撃コーチなどを経て17~19年はヤクルト2軍打撃コーチ。1メートル80、95キロ。右投げ右打ち。

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