日本ハム・田中賢、涙の引退セレモニー 最終打席の賢介コール「思い出が蘇り涙が止まりませんでした」

[ 2019年9月27日 22:43 ]

パ・リーグ   日本ハム1―5オリックス ( 2019年9月27日    札幌D )

引退セレモニー、花束を受け取り涙ぐむ田中賢(撮影・高橋茂夫)
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 今季限りで引退する日本ハムの田中賢介内野手(38)が27日、引退試合に臨んだ。

 田中賢は「2番・指名打者」で先発出場。4点リードされた6回1死一、二塁で迎えた第3打席で、カウント2ボール1ストライクからオリックス先発の山岡が投じた4球目を右前に弾き返してプロ通算1498安打を放った。8回2死一、二塁で迎えたプロ最終打席は、目に涙を浮かべて打席へ。1ストライクから山岡の2球目を捉えてライトフェンス直撃となる適時打で打点を挙げ、プロ通算1499安打とした。

 試合後には引退セレモニーが行われた。ファンに一礼した田中賢は「私にとってファイターズは家族です。その家族には、北海道に移転当初ガラガラだった札幌ドームを満員にして、その中で選手にプレーしてもらいたいと寝る間も惜しんで努力して、今日も私の最後を良い形で送り出してあげたいと心からそう思う本当に優しい球団職員がいます。いつも裏方に徹して、選手を支えて続けてくれるチームスタッフもいます。雨の日も風の日も雪の日もどんなときでも応援してくれる全国のファイターズ応援団、そして全国のファイターズファンの皆さん。その皆の期待に応えようとともに頑張ってきたここにいる仲間たち。言い切れないほど感謝したい人がたくさんいます。その全ての人たちが僕にとっては家族です。その家族と過ごせた20年間は最高に幸せな時間でした」とファイターズに関わった人々に感謝した。

 続けて両親に向けて「小学校2年生から野球を始めて31年間、2人はずっと僕の一番のファンでいてくれましたね」と目に涙を浮かべて言葉を詰まらせた。「僕が壁にぶち当たり苦しくなった時に父は『賢介逃げるな!正直に真っ直ぐ生きろ。コツコツ努力すれば必ず乗り越えられる』とメッセージをくれました。母はそっと寄り添い、何も聞かず、何も話さず、いつも笑顔で見守ってくれました。そんな2人がいたからこそここまでやって来れたと思っています」と涙を流しながら両親へ感謝。「自分も親となり、2人の偉大さを気付かされる日々です。2人は私たちの目標です。これからも仲良く元気でいてください」とメッセージを送った。

 続いて妻・千芳さんへ「結婚してすぐにアメリカに連れてってしまい、僕の何倍も辛かった日々だった思います。だけどそんな姿を見せず、気丈に振る舞っている姿に何度助けられたことかわかりません。今は子供たちの子育てに大変だと思いますが、あなたのおかげで元気に大きく育っています。今日でプロ野球選手の田中賢介は終わりますが、なんせこんな性格なので、これからも自分の信じる道向かってどんどん突っ走っていくと思います。これからもどうかよろしくお願いします」と感謝し、言葉を送った。

 自身の子供たちと全国の子供たちにも「家族はどんな時も君たちの味方です。いつも暖かく見守っています。だから失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてほしい」とメッセージ。

 続けてファンへ「アメリカで上手くいかず帰ってきた僕にファイターズという家族は暖かく迎えてくれました。あの時の『おかえり』という声援は本当に嬉しかったです」と語り再び涙をこぼした。

 「これまでたくさんの声援とたくさんの愛を頂きました。これからは私が恩返しする番だと思っています。これからも北海道そしてファイターズの少しでも力になれるように、北海道でみんなと一緒に生きていきます。最後の打席の『賢介コール』は色んな思い出が蘇って涙が止まりませんでした。みんなありがとう。心から感謝しています。20年間ありがとうございました」と再びファンへ感謝してスピーチを締めくくった。

 そして、チームを代表して中島卓也選手会長、同級生の鶴岡慎也、金子誠打撃チーフ兼作戦コーチから花束を渡され、涙の抱擁。最後に自身の子供たちから花束を贈呈されると、2人を抱っこして言葉を交わした。

 その後選手全員で記念撮影後、チーム全員に胴上げされて5回宙に舞った。

 最後にファンへの感謝を込めて球場を一周しようとするとサプライズで日本ハムOBである侍ジャパンの稲葉篤紀監督、岩本勉氏、建山義紀氏、森本稀哲氏、稲田直人氏が花束贈呈で登場。田中賢は涙が止まらず、球場を一周する際も涙を流しながらファンの声援に応え終わるとベンチ前で、チームスタッフ含めて全員と握手してグラウンドを後にした。

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