巨人“サカマル”V対談 移籍組を和ませた坂本勇 丸「何とか優勝したいなと」

[ 2019年9月22日 08:30 ]

祝勝会で笑顔の坂本勇(右)と丸

 巨人を5年ぶりのV奪回に導いた坂本勇人内野手(30)と丸佳浩外野手(30)が、優勝までのシーズンを振り返った。坂本勇は本塁打、打点でキャリアハイの成績を残し、主将5年目で悲願の初優勝。3連覇の広島からFA移籍した丸は「優勝請負人」としての使命を果たした。坂本勇が1学年上の同世代。相乗効果を高めた「サカマル」が熱く語った。(取材・構成=青森 正宣)

 ――広島のリーグ3連覇に貢献した2年連続MVPの移籍だけに注目度は高かった。

 丸 予想よりちょっと大きかった。でも、僕は右から左なんで、何を言われようと寝たら忘れちゃう(笑い)。野球選手なんで、結果を残さないと言われるのは当然。プレッシャーよりはやりがいを感じました。

 坂本勇 こちらからしたら、凄いありがたい。よくぞ来てくれたなって。プレッシャーは多少なりとも絶対あったはず。その中で安定した成績を残しているから、改めて凄いと。

 丸 勇人さん含めてチームの皆さんがやりやすい雰囲気をつくってくれた。1月の合同自主トレのときに開いてくれた歓迎会でも、中島さんや銀(炭谷)さんを含めた僕ら移籍組を和ませてくれた。「キャンプ始まるんで頑張りましょう」と。「キャプテンになってから優勝していないから、したい」とも言っていて、何とか優勝したいなと思った。

 坂本勇 泥酔してたけどね(笑い)。

 ――お互いの印象は。

 坂本勇 プレッシャーをあまり感じないタイプというのは、広島でプレーしているときから感じていたから、イメージ通り。ゲーム好きも知っていた。けっこう社交的だなというのは、イメージになかった。野球の話も普段の話も、いろんな人とよく話すんやなと。

 丸 オールスターでもしゃべったことありましたし、人柄はイメージ通り。野球に対するイメージはけっこう違った。もっとセンスで打っていると思っていた。でも、話してみると、状況に応じて考えをしっかりさせた上で打席に入っているんだなと。やっぱり、そういうのは大事なんだと改めて思った。

 坂本勇 丸はノートにメモしてるから「どんなん書いてんの?」と聞いたりするけれど、失敗を無駄にせず、プラスに変えているから、ずっと安定した成績を残してるんだなと。一緒にやらんかったら、分からんかった。頭いいねんなと。

 ――今季はベンチで2人が話している姿をよく見た。

 坂本勇 これまではなかったことですね。たまたま東京ドームのときに座っているのが横やから、ピッチャーがこうだから、こう打とうかなとか、話している。丸が「このキャッチャー、こうやったら次、これが多いですね」とかポンと言ってくれて、そうなんやと気づくときもあるから、プラスですよね。

 丸 カープ時代が常に情報共有しようという感じだった。だから、若い選手が代打に行くときは、迷いが出ない程度に「こんな感じだよ」と言いたくなっちゃう。

 ――2番・坂本勇、3番・丸の打順。

 坂本勇 うまくつなげられてないなと思うときはある。ただ、そこでボールを見ていっても、僕が2番に入った意味もなくなってまう。そこは凄い難しい。

 丸 やっぱり、ランナーがいるケースで回ってくることが多い。あと、今年は勇人さんのホームランが凄い増えているので掃除してくれた状態で僕。もう一度チャンスをつくりたいと思うけれど、どこか雑になった部分がちょっとあるのは反省です。

 坂本勇 ホームランのあとってけっこう難しいよね。ワーっていっちゃうのよね。

 丸 難しい。球場もざわついているし、「ヨッシャ、俺も」と思う。でも、相手ももう打たれたくないから、丁寧になりがちだし、スーッとは来ない。

 坂本勇 確かに前のバッターが30発以上打つってないもんな。後ろはあっても。

 丸 僕も初めてです。

 ――お互い勝てないなと思う部分は。

 丸 練習で僕から見ても今日は調子悪そうだなと思って、勇人さんも「良くない」と。そんなとき、「このままじゃ、普通にいっても打てんから、試合でめっちゃ変えちゃおう」と言って、ほんまに打つんすよ。僕は練習がダメだと、試合でも引きずっちゃう。

 坂本勇 メンタルの部分はめっちゃ見習える。トレーナー室で「ちょっとやばいすわ」って言ってるのも知っているけれど、試合中には絶対見せへん。僕はどちらかというと、出てしまう。「打てへんし、負けてるし、しんど」って。技術的にはやっぱり選球眼。絶対勝てへん。ちょこちょこ当てるのは俺の方が上手かもしれない(笑い)。

 丸 うらやましいです。キク(菊池涼)がそうだった。

 ――CS、日本シリーズへ向けて。

 坂本勇 みんなで勝ち取った優勝。短期決戦は楽しみながら思い切ってやりたい。

 丸 3年連続で日本一を逃しているんで、何とか4回目の挑戦権を得て、日本一になりたい。

 【取材後記】今季、全試合に出場している坂本勇と丸。移動日に行った対談だったが、疲れがたまっている様子だった。
 休息の時間を奪ってしまい、申し訳ないなと思いつつ、時間が進むにつれ、2人の笑顔も増え、トークも軽快に。お互いが勝てないと思う部分を尋ねると「うーん…」と考え込む坂本勇に、丸が「なくないすか?」とツッコミ。坂本勇は「あるよ!あんねんけど、選球眼って言ってもありきたり過ぎて…なんやろ」と1歳下の後輩の知られざる一面を探す姿は楽しそうだった。
 お互いに実力を認め合う2人が、ベンチで意見交換する姿はおなじみ。もし可能なら…次はぜひとも試合中に生で「対談」を聞いてみたい。(巨人担当・青森 正宣)

続きを表示

2019年9月22日のニュース