【惟任貴信 研球】阪神、「不安」の先にある「歓喜」

[ 2019年9月20日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神0―8ヤクルト ( 2019年9月19日    甲子園 )

<神・ヤ>5回2死一塁、バレンティン(手前)に本塁打を放たれた高橋遥(撮影・平嶋 理子)
Photo By スポニチ

 阪神は最下位・ヤクルトに大敗を喫し、これで21日の広島戦に敗れるとCS進出の可能性が消滅する。チームも、虎党も「闘志」と「不安」を抱えて「負けたら終わり」の一戦に向かうことだろう。

 ただ「不安」は、この時期に限ったものではない。特に勝負の世界に身を置く者にとっては常に根底にあるべきものだ。今年から評論も担当し、スポニチ評論家陣と話す機会に恵まれている。その中で、心に残った言葉を紹介したい。通算317勝を挙げ、名球会に名を連ねる「草魂」こと鈴木啓示氏が雑談中に、ポツリと発したひと言だ。

 「しかし現役時代に野球が楽しいとかは思ったことがなかったな……。ほんまに毎日が不安との戦いやったからね」

 現役20年間で2桁勝利18シーズンという驚異的な成績を残し続けた左腕が、常に「不安」と戦っていたと聞き、正直、驚いた。さらに氏は言葉を続けた。「名球会で王さんともそういう話をしたことがあるけど、話が合ったよな。あの王さんでも、そうやったんや」

 現役22年間で世界記録の通算868本塁打を放った「世界の王」王貞治氏(ソフトバンク会長)も、似た思いを抱いていたそうだ。日本球界の投打の偉人2人が、現役時代、ともに不安と戦う毎日を過ごしていたとは……。鈴木氏は「だから不安を少しでも減らすためには、とにかく練習するしかなかったんや」と言葉を継いだ。「不安」の前には、過去の実績は意味を成さない。裏付けを得るためには、とにかく汗を流すしかなかった。

 今季も、すでに137試合を消化した。阪神の選手たちも「不安」と戦う日々を送ってきたことだろう。それは残り6試合もしかり。そしてシーズンが終わっても、今度は来季へ向けた戦いが始まる。現役である限り、毎日が戦いの日々。「不安」を振り払うには、やはり練習するしかない。

 今年のチームには指名制の早出練習はなかったと聞いたが、若虎たちは自主的に早出、居残り練習に取り組んできた。たとえば本拠地ナイターなら試合開始の約7時間前頃からランニングする姿が散見され、全体練習後も常に数人が居残り特打に励むそうだ。球団関係者も「選手はみんな、よくやっていますよ」と言う。猛虎戦士たちも例外なく「不安」をかき消すために努力をしている。

 だが結果が伴わなければ、それは足りないということになる。「不安」に打ち勝った先にこそ、「歓喜」がある。その最大の近道は、明らかだ。(惟任 貴信)

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2019年9月20日のニュース