斎藤隆氏 U18年代に求めるのは「成熟度」より「将来性」

[ 2019年9月20日 08:30 ]

U18W杯で韓国に敗れた日本
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 【斎藤隆氏サミー・リポート】今月初めに韓国で開催されたU18ワールドカップで、日本代表は残念ながらスーパーラウンド敗退という結果に終わりました。スカウティングの視点から他国の選手と比較すると、技術的な成熟度は高いが、まとまりすぎている感じがします。野手では右投げ左打ちの俊足巧打の選手が多いことも気になりました。決して、それが悪いということではありません。高卒でドラフトに指名されても、1、2年目から1軍に出てくる選手もいるでしょう。ただ、日本の球団とMLBの球団では、U18年代の選手に求めるものが違います。

 MLBの球団が見ているのは「将来どれぐらい化けるか」――。今回、米国の5連覇を阻止して優勝した台湾は、アジアのマーケットでも注目されています。今月9日、インディアンスの張育成(チャンイーチェン)がメジャー初本塁打を記録しました。24歳で、三塁や遊撃を守る右打ちのパワーヒッターです。パドレスのマイナーにも宋文華(ソンウェンファ)という23歳の右腕がいます。19歳の時に契約し、ケガでリハビリの期間もありましたが、今季は1Aで12・85の奪三振率を記録。今年のキャンプで実際に見ましたが、骨格も大きく、将来性を高く評価されています。

 MLB球団の間では中南米に続くマーケットとして、「アジアから目を離すな」というのは共通の認識です。今年7月、MLBはインドのニューデリーにオフィスを作りました。世界第2位の13億人の人口は市場として魅力があり、また絶大な人気を誇るクリケットの投げる、打つの動作は野球に共通する能力があるとみています。すでに映像でチェックしている球団もあります。現実問題として、インド出身のメジャーリーガーが誕生するかは分かりませんが、新たな市場開拓に乗り出したのは事実です。

 その大きな流れの中心に依然として日本があるのは、間違いありません。日本の高校野球の頂点は「甲子園」であり、やはり勝利至上主義、勝つための野球が優先されます。台湾や韓国と同列で見ることはできませんが、指導者の意識や選手を取り巻く環境など少しずつでも「世界基準」へと変わっていけばいいなと思います。(パドレス球団アドバイザー)

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2019年9月20日のニュース