智弁和歌山・黒川 星稜・奥川の前に6打数無安打も「この失敗を絶対、この先に生かしたい」

[ 2019年8月17日 19:54 ]

第101回全国高校野球選手権大会11日目 3回戦   星稜4―1智弁和歌山 ( 2019年8月17日    甲子園 )

<星稜・智弁和歌山> 激闘の末、星稜に敗れ、涙を流す智弁和歌山・黒川 (撮影・平嶋 理子)
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 ここ一番で力を発揮しきれずに終わってしまった。2回戦の明徳義塾戦で5季連続出場&5季連続安打をマークしていた智弁和歌山の主将・黒川史陽(3年)は、大会ナンバーワン右腕の星稜・奥川に6打数無安打と完璧に封じ込まれ「悔しいです。悔しい。終わらせたくなかったけど終わってしまった」と終始涙声で話した。

 ギア全開で手を抜くことなく立ち向かってきた強敵に、手も足も出なかったわけではない。チームとしては記録的な23三振を喫したが、黒川自身は1つだけ。延長11回の第5打席では4球目にこの日の奥川の最速タイとなる154キロを投げ込まれ、最大限に警戒されていることが見て取れた。いい当たりもあったが、野手の正面を突く不運もあった。第1打席から二ゴロ、空振り三振、遊ゴロ、右飛、一ゴロ、投ゴロ。「絶対負けたくないという気持ちが伝わってきた。僕らより勝っていた。高校人生で一番気合が入っていて素晴らしいボールを投げてきた。甘い球もあったけど、絶対抑えるという気持ちの入ったボールだったと思う」と剛腕の快投に完敗を認め、脱帽するしかなかった。

 昨年の春季近畿大会決勝で根尾(大阪桐蔭=現中日)に4打数1安打と封じ込まれ、チームもわずか1得点で敗戦。93年に上宮で選抜を制した父・洋行さん(44)に初めて「バッティングを教えてください」と深刻な表情で頭を下げた。小学校低学年のとき、父の選抜優勝のビデオを見て「俺でもできる。俺はもっと打つ」と豪語し、「負けたくない」と強烈にライバル視する父にそうしてまで、自らの打撃を向上させたかった。父のアドバイスを積極的に取り入れるようになり、今年の春季近畿大会後もフォームを改良。夏の和歌山大会決勝ではV打となる先頭打者弾を放つなど、悲願の日本一へ向け自信を持って臨んだ大会で、大輪の花を咲かせることができず「日本一にならなければ日本一の練習をしたとは言えないと言ってきた。結果が出なかったから、日本一の練習とは言えない」と自らを戒めるように唇をかんだ。

 だが、黒川の野球人生はここで終わったわけではない。「この失敗を絶対、この先に生かしたい。生かさないと(中谷仁)監督にも申し訳ない。プロ野球で活躍したい」と前を向いた。聖地の土は、強い意志で持ち帰らないことにした。「この先、このグラウンドで結果を出すため」――。かつて指揮官もプロとして活躍したこの場所に、同じプロとして、また一回り成長した姿で必ず戻ってくる。

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