【石川】星稜 奥川劇場で決勝進出!MAX152キロで4回3安打2失点&同点&決勝2ラン

[ 2019年7月27日 15:30 ]

第101回全国高校野球選手権 石川大会準決勝   星稜8―6鵬学園 ( 2019年7月27日    石川県立 )

<石川大会 鵬学園・星稜>10回1死二塁、勝ち越しの本塁打を放ちガッツポーズする星稜・奥川 (撮影・平嶋 理子)   
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 星稜が奥川恭伸投手(3年)の投打にわたる活躍で決勝戦に進出した。4―3の7回無死二塁の場面で先発・寺沢孝多投手(3年)をリリーフ。2死後に四球を出し、2死一、二塁から2点三塁打を浴びて勝ち越しを許したが、直後の攻撃で左越えに同点本塁打。さらに5―5の延長10回1死二塁では左越えに2打席連続となる決勝2ランを放った。投球でも最速152キロの直球を軸に4回3安打2失点、7奪三振の好投に林和成監督(44)も「奥川劇場でしたね」と最大限の賛辞を送った。

 直前、小さな奇跡が起きていた。逆転された直後の8回無死、奥川は2球目に一塁後方への飛球を打ち上げた。しかし白球は上空を舞う強い風に流され、一塁手が落球。本来ならアウトだったはずが命拾いすると、4球目に左翼席への同点本塁打を打ち込んだ。「ミスの後に長打が出ることは多い。自分もホッとしたし、何かがあるかなと思った」。客観的に幸運を受け入れ、思い描いた通りの長打へと結びつけた。

 1979年夏の甲子園大会3回戦・箕島戦。3―2で迎えた延長16回2死、一塁手がファールゾーンへの飛球を転倒によって捕ることができず、勝利寸前で同点本塁打を浴び、試合にも敗れた。もちろん選手達はまだ生まれておらず、母校の歴史として知る監督でさえも「試合の最中は、頭をよぎる余裕もなかった」とするが“あの時”に酷似したシーンだった。

 奥川は自らの2ランなどで3点を勝ち越し、8―5として迎えた10回。2死から連打を浴び、自らの一塁悪送球も重なり、1点を失った。涙を流しながら必死に食らいついてくる相手に「恐怖を感じて、イヤな直感がした」と一瞬、気圧された。最後の打者を左飛に仕留め、整列。校歌を歌う際には目に涙がつたっていた。「まずは勝ててホッとした。後は鵬学園さんが全力で向かってきて、今日はこういう試合で勝つことができたが、相手の気持ちを授かったような気持ちになった」と感情があふれ出た。

 勝ったとはいえ、満足感はない。「ゲームの内容を見たら、ひどい試合。反省点しかない。自分の投球も、勝ちたい気持ちが強すぎて腕が振れず、ボールも中に入った。今日の投球で負けていたら、後悔しかなかった」。創志学園(岡山)が敗れ、高校生投手ビッグ4と称される投手で甲子園大会出場の可能性を残すのは奥川だけとなった。「甲子園出場まであと1勝。明日は全てを出し切って、試合が終わったら倒れるくらい、全力でぶつかっていきたい」。4季連続の甲子園出場へ、持てる力の全てを注ぐ。

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2019年7月27日のニュース