【大阪】興国の3番に1年生で抜てき 台湾人留学生・尤彦晟3三振で涙

[ 2019年7月11日 20:51 ]

第101回全国高校野球選手権大阪大会1回戦    興国1―3大商大高 ( 2019年7月11日    南港中央 )

<大商大高・興国>9回2死一塁、期待の尤だが三振に倒れゲームセット(撮影・井垣 忠夫)
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 あふれる涙が止まらない。日本で迎える初めての夏は、悔しい形で幕を閉じた。1―3で迎えた9回2死一塁。1年生で古豪・興国の3番に抜てきされた台湾人留学生・尤彦晟(ユウ・イェンチェン)のバットに注目が集まったが、大商大高のエース・上田大河投手が投じたスライダーの前に空振り三振に終わった。

 「とても良いピッチャーでした。特に変化球が素晴らしかったです。悔しいですが、とても良い経験になったと思います」

 春の大阪大会を制した148キロ右腕に、勝負の厳しさを教わった。初回、4回はいずれも切れ味鋭い変化球に空振り三振。7回無死一塁では三ゴロ併殺に終わった。最終打席とあわせ4打数無安打3三振。チームの勝利に貢献することは、かなわなかった。

 結果は伴わなかったが、豪快なフルスイングに無限の可能性を感じさせた。母国・台湾ではU15代表に選出されただけでなく、4番打者を務めた。17年のU15アジアチャレンジマッチ・日本戦では本塁打もマーク。今春4月に来日して以降も、練習試合では3本塁打を記録した。

 まだ日本語は片言だが、チームメートとは翻訳アプリを用いてコミュニケーションを深めてきた。華麗なキャリアに慢心することなく、練習に対する姿勢は誰もが認めるところ。上級生からも「尤をベンチに入れてください。たとえ打てなかったとしても、僕らも納得できる」と声が上がるほどの信頼を得て、背番号20でのベンチ入りを果たした。

 そんなスラッガーに熱血指導を施すのが、元近鉄の三木仁スーパーバイザー(39)だ。

 「とにかくスケールが大きい。話題性ではなく結果と姿勢で背番号を勝ち取った。これまでは力勝負というスタイルでやってきましたが、今は日本の野球を勉強している最中。これからは配球や駆け引きという部分も覚えていかないといけません。きょうは大阪No.1投手に対して悔しい思いをしましたが、これを糧としてほしい。いずれは世界にはばたく選手になってほしいですね」

 3点を追う9回2死二塁から右前適時打を放った主将の林信太朗外野手(3年)もエールを送る。

 「尤に回せば何とかなると思って執念で打ちました。この悔しさを、秋以降につなげてほしいです」

 尤彦晟だけではなく、好投手・上田から2安打した高田祐斗外野手(2年)や5回からの4イニングを零封した浅利太門投手(2年)ら楽しみな下級生は多い。昨秋からチームを率いる元ロッテの喜多隆志監督(39)は言う。

 「3年生は自分たちの力を出し切ってくれました。下級生の何人かが残りますが、高校野球はそんなに甘い世界ではありません。選抜を目指して、頑張っていきます」

 1975年夏以来遠ざかる聖地へ向けた新たな挑戦は、休む間もなく始まる。
 

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