大船渡・佐々木は170キロ投げる!動作解析専門家が人類最速予言「そう遠くない将来に」

[ 2019年6月27日 10:30 ]

大船渡・佐々木朗希の投球フォームの解析
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 令和の怪物は「人類最速投手」になれるのか――。高校歴代最速の163キロを誇る大船渡・佐々木朗希投手はどこまで進化するのか。筑波大野球部監督で大船渡・国保陽平監督(32)の恩師でもある同大体育系の川村卓准教授(49)は、動作解析での分析で近い将来の「170キロ」到達の可能性を明言した。

 東北・岩手で生まれた17歳が「人類最速投手」の称号を手にする日が来るのか。動作解析の専門家でもある川村准教授は、佐々木朗の投球フォームを分析した上で「それほど遠くない将来に170キロを投げるのでは、と思います」と明言した。

 動画を基にした「スティックピクチャー」でも、(2)で左足を高々と上げている姿がひときわ目立つ。「この姿勢が全てと言ってもいい。一切ぶれないし、右足に完全に体重を乗せている」。そこから(3)の「上半身に力みがなく、脱力感がある。これは大谷投手(エンゼルス)にもない高等技術」。学生を指導する立場にある川村准教授だが、選手に「力を抜け」というのが何より難しいという。佐々木朗は「脱力」から一気にパワーを開放する。

 (4)~(5)では右股関節に体重を乗せながら、肩は水平のまま体重移動をしている。前田(ドジャース)タイプの投げ方で、右肘が上がりやすいという。そして「(6)では踏み出した左足もぐらつかず、(8)の右腕のしなりも素晴らしい」。下半身の力が上半身、そしてボールへと非常によく伝わる理想的な投げ方だが、ここから170キロへと壁を破るためにはどうすればいいのか。

 課題は上半身にある。「下半身主導のフォームでリードするのはいい。あとは上半身の強さが組み合わされば」。現在のフォームでいえば(7)ではボールを持つ右手が頭から離れている。「遠心力がかかると遠回りしがち。それだと力が外に逃げる。コンパクトに、体に巻き付くよう腕を振りたい」。(10)でも投げ終わった右腕がムチのように体に巻き付くのが理想だ。

 「大谷投手の上をいく可能性もあるし、ポテンシャルはとてつもない。未完成ながらこれだけの数字を出す。完成したら、いったいどれぐらいのボールを投げるのか」と川村准教授。人類最速投手へ、佐々木朗の未来図は果てしない。

 ≪人類限界は「180キロ」≫人間が投げる球速の限界は果たして何キロなのか。川村准教授は「170キロはすでに投げている投手がいる。180キロぐらいが限界ではないかと思います」と予測した。
 投手がボールを投げる際には、前腕と上腕の骨をつなぐ「じん帯」に大きな負担がかかる。一般的にじん帯が切れてしまうとされる負荷は「34±12ニュートンメートル」。川村准教授によると、プロレベルの投手は1球投げるごとに60ニュートンメートル以上の力が肘、じん帯にかかるという。
 投手の肘は1球ごとに猛烈な負荷に耐えている形になるが「ただ、これは瞬間的な数字。じん帯は適応して太く、強くもなります」。その人が持つじん帯がいかに適応できるかが、180キロを投げられるかの鍵となる。

 ○…現時点の「世界最速」はメジャーでの105・1マイル(約169・1キロ)。動作解析システム「スタットキャスト」が導入された15年以降の数字で、チャプマン(ヤンキース)とヒックス(カージナルス)がマークした。日本プロ野球での最速は大谷(日本ハム)が記録した165キロ。16年10月16日、ソフトバンクとのCSファイナルS第5戦で計測した。

 ≪リミッター外して大台再び≫佐々木朗は4月6日のU18代表候補による研修合宿の紅白戦で、高校歴代最速の163キロをマークした。それでも、同月中旬に骨密度を測定したところ、国保監督は「(160キロ超の)球速に耐えられる骨、筋肉、じん帯、関節ではなかった」とし、本人も理解した上で球速をセーブすることを決め、以降は球速を145キロ前後に抑えている。
 同監督は「体が投げられる状態で相手打者に効果的であるなら」と前置きした上で「夏の大会で(160キロ超の球を)投げると思う」とした。佐々木朗は「強く投げるよりもストライクを放ることが大事」と強調するが、どこでリミッターを外すか注目が集まる。

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