雄星、父の“遺言”守り帰国せず「残りのシーズンを父にささげる」

[ 2019年4月1日 02:30 ]

<マリナーズ・レッドソックス>9回に追加点を許し険しい表情を見せる菊池(右)(撮影・会津 智海)
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 マリナーズは30日(日本時間31日)、菊池雄星投手(27)の父・雄治さんが死去したと発表した。59歳。球団によれば、がんで闘病中だったという。息子が15歳の頃から夢見ていたメジャーデビューを見届けて旅立った父親のため、菊池は次回登板の4日(日本時間5日)、敵地でのホワイトソックス戦で初勝利を目指す。

 球団から発表された菊池の言葉に、59歳の若さで亡くなった雄治さんの思い、左腕の強い決意が表れていた。

 「生前、父は私に野球に専念し、そのままチームの勝利のために頑張ってほしいと言っていました。私は父の願いに敬意を表し、全力で頑張り、残りのシーズンを父にささげたいと思っています」。当初の予定通り4日(日本時間5日)の敵地ホワイトソックス戦に登板し、シーズンを戦い抜く覚悟を示した。

 雄治さんは今年1月3日のシアトルでの入団会見に姿を見せ「やっと(メジャーに)来たね。精いっぱい頑張ってほしい」とエールを送っていた。しかし、菊池が「かねて病気療養中だった」と明かした通り、多くの親族が駆けつけた21日の東京ドームでのメジャー初登板の際には岩手県内の自宅でテレビ観戦していた。

 米本土デビュー戦の一夜明けだった菊池は試合前に通常通り練習。遠投などで調整した。ただ、練習後の報道陣の取材依頼には珍しく「すみません。今日はなしでお願いします」と頭を下げてクラブハウスへ。代理人事務所の担当者や球団広報と話し込む姿が見られ、試合終了から約1時間後に訃報と菊池の声明が伝えられた。

 米本土デビュー戦では昨季世界一のレッドソックスを相手に6回3失点で勝利投手の権利を得たが、9回に救援投手が逆転され、メジャー初白星には届かなかった。次回こそ勝って、ウイニングボールを手向ける。その後も活躍を続ける。それが父への一番の供養になると信じている。

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