広島 堂林 炎に誓う“新井魂”継承「まだまだやれるという気持ちで野球につなげたい」

[ 2019年1月13日 05:30 ]

最福寺で護摩行をうける堂林(左)と会沢
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 広島・堂林翔太内野手(27)は12日、鹿児島市内の最福寺で会沢、石原とともに護摩行を行った。摂氏400度超の熱さに耐えて己の心を鍛える過酷な行。14年連続で参加してきた“師匠”の新井貴浩氏(本紙評論家)が昨季で引退しても、3年連続での参加を決意した。人的補償で巨人から長野が加入してし烈極める外野を含めた定位置争いには、“新井魂”で挑む。

 不動真言を叫ぶ師匠はもういない。堂林が新井氏を慕って始めた護摩行は、今年で3年連続となった。引退した同氏は不参加でも、再び最福寺を訪れたのには、悲壮な決意があった。

 「まだまだ足りないところが多々ある。成績は今まで見ての通りなので…。さらに、力を引き出せるようにと来させていただいた」

 約90分間、摂氏400度を超える炎と対峙(たいじ)した。合計約2500枚の護摩木を燃やして上がった火柱は例年よりも高く、真っ赤にヤケドした顔が荒行の過酷さを物語る。「これ以上キツイことはない。しんどいときにこの行を思い出せるように、まだまだやれるという気持ちで野球につなげたい」。今年も護摩行を継続したように、打撃などを相談してきた新井氏との師弟関係が解消されるわけではない。“新井魂”を継承して、勝負の年に挑む。

 「自分で限界をつくるなと常に言われていた。まだまだやれると思ってやりなさいと。今年1年、試合に出て活躍することが恩返しになる。そこを忘れずにやりたい」

 昨季の出場は63試合にとどまり、先発はわずかに7度。主に守備固めや代走に甘んじ、打率・216、5打点、本塁打はゼロに終わった。人的補償で巨人から長野が加入。堂林は内外野をこなせる強みがあるものの、丸の移籍でチャンスが広がっていた外野の定位置争いはし烈さを増した。

 「競争に勝つしかその先はない。向かっていく気持ちで戦いに勝てるようにしたい」

 池口恵観大僧正は「堂林君は期待できる」と驚いた。続けて「去年は火に負けて下がっていたけど、今年は違った。危ないから下がりなさいと合図したけど、それでも前に出てきた」と今季の巻き返しに太鼓判を押した。

 行が終わると新井氏から電話があり、「自分の仕事ができるように、もうちょっと鍛えてください」との冗談交じりの進言も、今年の堂林には必要なかった。大僧正からは「不屈招福」の四字熟語が送られた。簡単ではない定位置奪取に挑む1年。今年にかける思いは、疑いようがない。

(河合 洋介)

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2019年1月13日のニュース