広島前監督の野村謙二郎氏 丸の穴埋めるのは…ポジション空き台頭するのが“伝統”

[ 2019年1月4日 10:30 ]

広島の野間
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 黄金期を迎えた広島に昨年末、大きな地殻変動が起きた。不動の「3番・中堅」丸の移籍によって開いた穴。それを埋めるのは果たして誰か。リーグ4連覇を達成する上でカギは何か。今季最大の注目点について、スポニチ本紙評論家で広島前監督の野村謙二郎氏(52)に見解を聞いた。2019年。王者に吹くのは順風か、それとも逆風か――。(構成・江尾 卓也)

 丸が移籍した影響は当然ある。何しろ、2年連続のMVPだ。ただ、緒方監督が常々言っているように、カープはそういう歴史の中で戦績を積み上げてきた。ポジションが一つ空き、誰が台頭するのか思いをはせると、逆に楽しみでもある。

 3番候補は野間か、あるいは田中か。いずれにしろ、緒方監督はジグザグ打線を意識しており、左打者を考えていると思う。左と右が交互に並ぶメリットは大きい。投手交代するにしてもワンポイントになり、相手ベンチは手を打ちづらい。

 中堅手の観点でも1番手は野間だ。4年目の昨季は初めて規定打席に達するなど、経験を積んだ。ただし、プロは3年やって初めてレギュラー。守備走塁は一級品だけに期待は大きいが、打順を含めてまだ定位置を確保したとは言えない。

 実績なら3番・田中か。外野がこなせるなら、西川の選択肢もある。思えば、タナ・キク・マルに鈴木の並びだって1年でポンとできたわけじゃない。当面は流動的になるだろう。その中で、丸に代わる人材を育成しなければいけない。当然、辛抱も必要になる。

 ちなみに、同じ左打者でも松山は走者を置いた場面でガツンといくタイプ。4番・鈴木、5番・松山の並びは変わらないとみる。

 リーグ4連覇を目指す今季。丸が抜けた打線の穴に目が行きがちだが、それ以上に心配なのは投手陣だ。防御率が悪化しつつある中で、打線がカバーして勝った試合が目立つ昨今。打倒・広島に必死な他球団を封じるには、投手陣の奮起と安定が不可欠だろう。

 幸い、期待が持てる楽しみな投手は少なくない。左の中継ぎがいない懸案を指摘する声もよく聞くが、チーム内に左腕はたくさんいる。2軍担当だった佐々岡投手コーチを1軍に配置転換したのは、こうした現状を打破する狙いもあると思う。

 巨人、阪神が補強に走った今季はセ・リーグの戦力構図に変動が予想される。補強すれば強くなるのか。それとも経験や土台がモノを言うのか。面白いシーズンになると思う。(スポニチ本紙評論家)

 《6年連続で丸がチーム最多》広島の3番打者は13年から6年連続で丸がチーム最多試合数を務めていた。リーグ3連覇中の16年は143試合全て、17年も個人タイトルがかかった終盤9月30日DeNA戦の1番(3番=田中)以外の142試合と独占。18年は122試合で、4月28日阪神戦での右太腿裏負傷で先発を外れた翌29日から5月29日までの21試合は、バティスタと松山が代役。バティスタが13試合で53打数15安打の打率・283、5本塁打、10打点。松山は8試合で25打数7安打の打率・280、0本塁打、3打点だった。

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2019年1月4日のニュース