エ軍トレーナーの寺田氏 大谷に万全サポート約束“間に合うように”

[ 2018年12月19日 05:30 ]

エンゼルスのトレーナー兼マッサージセラピストの寺田庸一氏
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 右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたエンゼルスの大谷翔平投手(24)が来季は打者に専念しながら、再来年の投手復帰を見据えたリハビリに臨む。前例のない挑戦を支えるエ軍のトレーナー兼マッサージセラピストの寺田庸一氏(41)に聞いた。(聞き手・柳原 直之)

 ――エ軍のトレーナー兼セラピストとして心がけている点は。

 「なるべく誰でもなんらかの時間帯で治療を受けられるような雰囲気は作りたいと思っている」

 ――具体的には。

 「今は主力選手を担当していて、その選手が求める時間で治療をしようとしている。選手が早く治療してほしいという時は、予約というか先に時間を決めて治療する時もある」

 ――エ軍では故障対策として17年から試合前後の尿検査を実施。

 「肉離れ、足がつるなどの症状になった後に計測するとやはり数値が高い。肩肘の故障に関しては関係ない部分もあるが、来年も継続すると思う」

 ――二刀流・大谷のケア。

 「投手と打者で出場している時は時間の使い方が僕らも難しかった。空いている時間で“今だったらいけます”と。“今から30分くらいやろうか”と言ったら、“すみません、今からウエートトレーニングです”ということもあった。大変といえば大変だった」

 ――二刀流のケア方法は日本ハムから引き継がれた。

 「データは頂いていた。日本ハムでどういうケガをして、どういう治療をしていたか。それを元に治療したこともあったし、引いたり足したりする部分もあった」

 ――元々、右肘は張りやすかった?

 「元々、肘の張りはあった。本人もそこは一番、気にしていたと思う。昨季(17年)、あまり投げていないが、実際、エ軍と契約する前に日本で“PRP(多血小板血しょう)注射”を打っている。そこは僕らも気にしていたし、本人も気にしていた」 ――10月1日(日本時間2日)に受けたトミー・ジョン手術に対する助言や相談は。

 「そこまで相談は受けなかった。チームとしては“手術をした方がいいんじゃないか”と、説明した。手術するか、しないかは本人に決定権がある。“手術した方がいいんじゃない、しない方がいいよ”とは僕は言わない。彼の判断を待った」

 ――大谷の故障の原因について投球フォームの変化を指摘する声もある。

 「軸足(右足)の使い方が日ハム時代の映像と違うと感じる時はあった。マウンドは米国の方が固くて、傾斜がきついので、傾斜がきつければきついほど上体が前に行きやすい。本人の無意識の中で多少投げ方が変わるのは仕方がない。ただ、日本の球場のようにいろいろな固さのマウンドで投げている方が絶対に肩肘に負担はかかる。メジャーのメディカルスタッフ全員で原因を探しているけど、分かりやすい原因は分からない」

 ――来季は右肘のリハビリをしながら打者で出場する。復帰へのスケジュールは。

 「球団として来季は恐らく打てるだろうという判断。いつからできるかまだ全然分からない状態だと思うが、本人は開幕に間に合わせようとしている。僕らも間に合えばいいなと思って(ケアを)する。(開幕に)間に合ったから(すぐに試合に)出すか出さないかは、それはまた上(球団)の判断になる。ただ、来年は打者としてできるという状態を作らないといけない」

 ――5〜6月に復帰という見方もある。

 「本人は開幕を目指しているでしょう」

 ○…寺田氏は一時帰国中の先月、2日間に渡り都内で「『プロ野球選手』のコンディショニングスキルセミナー」(The Stadium主催)を開催した。実技を通して傷害評価法、投手の肩関節、股関節の施術について参加者に助言を送り、特別講演も行った。参加者から「日本選手と外国選手で治療法を変えている?」と質問された際には「痛がる選手は痛がる。人種というより個性によって分けている。治療一本で認めてもらおうと思っている」と丁寧に回答していた。

 ◆寺田 庸一(てらだ・よういち)1977年8月25日生まれ、静岡県出身の41歳。J1湘南ベルマーレユーストレーナー、セガサミー野球部トレーナーを経て、2010年、高橋尚成氏の通訳兼トレーナーとして渡米。13年からエンゼルスのトレーナー兼マッサージセラピスト。全米アスレチック・トレーナーズ協会認定アスレチックトレーナーの資格を持つ。

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