広島・会沢翼 パワーアップで球界を代表する捕手に

[ 2018年12月13日 08:00 ]

広島・会沢
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 【宮入徹の記録の風景】65年ぶりにチーム記録を塗り替えた。広島の会沢翼捕手(30)は今季13本塁打。53年門前真佐人(もんぜん・まさと)の12本塁打を抜く、捕手のシーズン球団最多記録をマークした。会沢自身、シーズン2桁本塁打は14年の10本以来4年ぶり2度目。広島の捕手でシーズン2桁本塁打は他に76年水沼四郎の11本塁打があるだけ。1人で2度は会沢が初めてだ。

 最近は強打の捕手がめっきり減っている。今季12球団の捕手をみても本塁打を2桁に乗せたのは会沢以外では森(西武=16本)しかいない。次いで梅野(阪神=8本)、甲斐(ソフトバンク=7本)、清水(日本ハム=7本)、中村(ヤクルト=5本)と5本以上でも6人。オリックスに至ってはマスクをかぶった試合で本塁打を放ったのは9月2日西武戦の若月の1本のみと寂しい結果に終わった。

 ところで各球団の捕手シーズン最多本塁打はどうなっているのか。多い順に列記してみる。63年野村克也(南海=現ソフトバンク)52本、74年田淵幸一(阪神)45本、10年阿部慎之助(巨人)44本、69年木俣達彦(中日)33本、92年古田敦也(ヤクルト)30本、04年高橋信二(日本ハム)26本、50年門前真佐人(大洋=現DeNA)25本、84年藤田浩雅(阪急=現オリックス)22本、06年里崎智也(ロッテ)17本、63年和田博美(西鉄=現西武)16本、18年会沢(広島)13本、13、15年嶋(楽天)4本。

 お気づきかも知れないが、昨年まで広島の最多記録の門前真佐人は今でもDeNAの球団記録保持者として残る。記録を作った50年といえばチーム創設1年目(当時大洋)。それから68シーズンが経過しているに破る選手が出てこない。ちなみに今季DeNAの捕手最多本塁打は嶺井の5本。門前の記録はラビットボールという飛ぶボールを使用した時代のものだが、DeNAが今後パワフルな捕手をどう育てて行くか注目したい。

 話を会沢に戻そう。今季は106試合に出場し、315打数96安打、打率・305と規定打席不足ながら打率3割をキープした。広島の捕手で規定打席に達したのは08年石原(打率・265=26位)が最後。規定打席に足りて打率3割以上は96年西山秀二(・314=8位)が唯一の達成者だ。来季は丸がチームにおらず、各選手の打力底上げは喫緊の課題。会沢も規定打席に達し最低でも「打率3割、20本塁打」はクリアしたいところだろう。

 さらに守備面での改善も欠かせない。広島はリーグ3連覇中だが、会沢のこの間の盗塁阻止率は16年・250(リーグ5位)、17年・263(同5位)、18年・245(同4位)。リード面での負担が大きかったのか全て4位以下と物足りない数字が残った。

 会沢は15年には・404でリーグ1位を経験。強肩が復活してもおかしくない。56年以降、広島の捕手でシーズン盗塁阻止率1位は他に79年水沼四郎(・404)、86年達川光男(・363)、05年倉義和(・440)と3人。複数回記録すれば初めてになる。会沢の「復肩」は4連覇達成の重要なポイントといえそうだ。(敬称略)

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