オリックスを去った主力たち チーム変革へ…金子が遺していったものとは

[ 2018年12月9日 13:30 ]

来季は日本ハムでプレーする金子
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 オリックス担当に2年ぶりに戻った。その初日、12月1日にある光景を目の当たりにして、ふとため息が漏れた。室内練習場にいたのは金子と塚原だった。

 塚原は17年10月に右肘の手術を受け、リハビリを継続中。今季は1、2軍とも公式戦の出場はなく、10月には戦力外通告を受け、来季は育成選手としての再スタートが決まっている。その塚原のリハビリに金子が付き合っていたのだ。

 隣にトレーナーがいたが、メニューを指示しているのは金子だった。何か本を見たり、トレーナーに確認したりするのではなく、自分の頭の中にあるメニューを一つ一つ指示し、塚原がそれに従っていた。10種類以上にも及ぶメニューをすらすらと塚原に説明し、効果を説明していた。

 何のために、金子は塚原に付き合っていたのだろうか。

 2日、自由契約選手が公示され、金子の名前も記載された。そして3日、日本ハムが金子と交渉したことを発表し、4日には契約が基本合意したことが発表された。電撃的に進んだ退団劇。おそらく、金子は1日の時点で退団を決意していただろう。その日、塚原のリハビリに付き合っていたことに、金子のメッセージが隠されているように思えた。

 コメントを発せず帰宅した金子に代わり、後日、私は塚原に聞いた。ただ、リハビリに付き合うことは、それほど特別なことでない、と塚原は言う。

 「いつも見てくれるんですよ。2軍にいるときは、東明さんとか張とかもみんなを見てもらってますし、トレーニングも全部教えてくれる。アメリカでも練習しているから、すごい知識がいっぱいありますよ」。

 金子は練習法やリハビリメニューなど、惜しげもなく後輩に教えている。退団を心に決めてからも、その光景が変わることはなかった。

 11月下旬のある日、金子は一度だけ球団との交渉を振り返りつつ、自らの思いを語ったことがあった。「オリックスが好きだからこそ、今、新しくなろうとしているチームにいていいのか。自分がいることによって、マイナスになることもあるのではないか」。あくまでも金銭闘争ではなく、チーム内の自分の立ち位置が変化したことに悩んでいたようだ。そして去ることを決めた。

 本当はオリックスに残りたかったのではないか。自分勝手に出て行ったように見えるが、真相は違うのではないか。リハビリに付き合う姿を見て、そんな疑問が、ふと私の胸を突いた。

 退団が決まった後、塚原は金子に「ありがとうございました。いつか投げ合いましょう」とLINE(ライン)でメッセージを送っている。塚原の復活は、きっと金子も喜ぶだろう。

 金子だけでなく、今オフは西、中島、小谷野と主力選手が去った。悲観するファンも多いと思うが、これは生まれ変わるチャンスと考えたい。そのためにも、エースが遺していったもの。オリックスは、大切にしなければならない。(記者コラム・鶴崎 唯史)

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