阪神ドラ4斎藤(下) 指名漏れバネに謙虚な姿勢で成長

[ 2018年11月28日 11:00 ]

ドラ4斎藤友貴哉投手(23=Honda)(下)

悔しさを持ち続けたHondaでの2年間が、友貴哉を社会人屈指の右腕へと成長させた
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 【ドラフト指名選手 矢野阪神の1期生】桐蔭横浜大4年時に主力投手の一人に成長した友貴哉はプロ志望届を提出。9球団から調査書が届き、指名を待ったが、ドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。周囲からは「(プロは)諦めずに、まずは社会人で活躍してチャンスを広げていこう」と慰められたが「残念でした。その(指名漏れした)日は大学の仲間と行きつけの居酒屋で一晩過ごしました」と悔しさを酒で紛らわせた。

 それでも、夢を夢で終わらせることはできない。「2年後に向けて活躍する思いしかなかった。見返してやる気持ちだった」と気持ちをリセット。翌日から反骨精神を持って練習に取り組んだ。

 Hondaでは入社直後の東京スポニチ大会の鷺宮製作所戦で先発し4安打完封勝利するなど同大会12イニング無失点で新人賞を受賞。都市対抗でも2回戦・新日鉄住金東海REX戦の6回から救援登板。2回1失点ながらも152キロを計測した。

 指名漏れしたのは足りない部分があったからこそ。「プロ」を一度、封印し己と向き合った。自身の投球フォームを撮影して分析する一方、多くのプロ野球選手の投球映像を動画サイトで見て研究。同じ速球派の大谷(エンゼルス)や則本(楽天)らが変化球を投じる時のリリースポイントや腕の振りなどを参考に、必要と感じたものはアレンジしながら導入していった。課題のフィールディングの強化など弱点克服にも努めた。岡野勝俊監督も「ほんとに真面目でいろんなことにチャレンジしようとしていた。フィールディングの練習も先輩たちに聞いたり真摯(しんし)に課題を受け止めてやっていた」と謙虚な姿勢が成長をさらに促したと話す。

 プロ解禁となった2年目の今季は都市対抗予選の第1代表決定戦・日本通運戦に先発し7回無失点の好投で本大会出場に導いた。本戦では初戦のJR四国戦に先発し5回1失点もチームは敗戦。それでも、社会人屈指の右腕としての評価を不動のものとし10月25日のドラフト会議で阪神から4位指名を受けた。

 「小さい頃からの夢だった。やっとスタートラインに立てた」。悔しさを持ち続けた2年間を自身の基礎として、友貴哉は新たな挑戦を開始する。 (長谷川 凡記) =おわり=

 ◆斎藤 友貴哉(さいとう・ゆきや)1995年(平7)1月5日生まれ、山形県出身の23歳。山形中央では甲子園出場なし。桐蔭横浜大では4年春に3連続完封を含む4完投の活躍でリーグ優勝しMVP。Hondaでは1年目から都市対抗で登板。18年のJABA東京スポニチ大会で2勝し優勝に貢献。1メートル84、90キロ。右投げ左打ち。

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