中日復帰の中村武志コーチ 韓国での苦難と栄光 恩師星野さんの墓前でV報告を

[ 2018年11月24日 10:00 ]

中日・与田監督(左)とともに加藤(右)を指導する中村バッテリーコーチ
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 かつて中日で10年以上も正捕手を務めた中村武志氏が、バッテリーコーチとして古巣に復帰した。今季まで4年間、韓国・KIAのバッテリーコーチとして異国の地で指導に携わってきた。与田新監督とバッテリーを組んでいた縁もあり、再びドラゴンズのユニホームに袖を通すことになり「声を掛けてもらえて本当に幸せだよ」と感慨深げに話した。

 韓国で得たものは多かったという。「言葉も通じない環境で指導するのは大変だった。捕手は一番、コミュニケーションが大事なポジションだからな」。力勝負に重きを置く韓国球界で、配球や細かな守備の作戦面などをいかにして伝えていくか、試行錯誤の連続だった。「とにかく原点に戻ろうと思った。自分が野球を始めた頃のように」。壁にぶつかった時は、常に自らの経験を遡った。そうすることで「教えながら、もう一度野球を学んだという感覚になっていった」と振り返る。

 「最初は毎試合のように10失点ぐらいするチームが、昨年は韓国シリーズで優勝できた。選手の成長を肌で感じられて、指導者としてこんなに幸せなことはない。素晴らしい体験をさせてもらったし、韓国での経験を必ず日本で生かさなければいけない」

 日本球界への復帰をKIAの首脳陣に伝えると「絶対に辞めないでくれ」と引き留められたという。実は韓国の複数の球団が中村コーチの招へいに動こうとしていたが「韓国で他の球団に行くという考えは一切なかった。本当に必要なんだと伝えられて、涙が出そうになった。後ろ髪を引かれる思いだった」。ただ、古巣に恩返しをしたいという気持ちが勝った。

 ロッテのコーチ時代に監督だった伊東勤氏がヘッドコーチに就任し、再びタッグを組む。「伊東ヘッドとまた一緒にやれる日がくるなんて想像もしていなかった。あれだけの頭脳と経験がある人は、そうはいない。どうやって与田監督をサポートしていくか。今からワクワクしているんだよ」。チームの強化のためには捕手の育成が急務だ。その重責を担うことになるが、ある思いを抱いている。

 「星野さんが生きているうちに“ドラゴンズに戻ることになりました”って報告できれば良かったんだけど」

 星野さんとは、1月に急逝した星野仙一氏。現役時代に厳しい指導で自らを育ててくれた恩師だ。「生きていたら、喜んでくれたかな?昔みたいに“武志、しっかりせえよ!”ってカツを入れてくれたかな?」。墓前で中日のリーグ優勝を報告する日がくることを信じ、5年ぶりに活躍の場を日本に移す。(記者コラム・重光 晋太郎)

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