大谷に聞く 米国のレベル「総合的に高い」

[ 2018年11月23日 05:30 ]

メジャー1年目を終えた帰国会見で笑顔を見せる大谷(撮影・島崎忠彦)
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 【エンゼルス・大谷に聞く】

 ――一年間の総括。

 「凄く充実して楽しい一年を送れたと思う。終わってみたら、一年間通していいシーズンだなと思える」

 ――オープン戦で結果が出ない時期、イチローに助言を求めた。

 「なかなか思い通りにプレーがいかないところや精神的な部分も(不安が)あった。一番経験してきた方にお話をうかがいたいなということで。実際にお会いして話を聞かせていただき、そこから気持ち的にも技術的にもより進歩してシーズンに入ることができた」

 ――ノーステップ打法に打撃フォームを変えた。

 「できる限り日本で取り組んできた形でプレーしたいという気持ちはあった。でも結果が出ず、内容も手応えを感じることがなかった。その中で少し変えてみようと取り組んだことが、いい方向にちょっとずつ転んでいった」

 ――投打で一番印象に残っている場面は?

 「投手は初登板(4月1日のアスレチックス戦)。緊張してマウンドに上がったので結果(6回3失点で勝利投手)より、ゲーム自体が印象に残っている。打者に関してはやっぱり初ホームラン(同3日のインディアンス戦)。ホーム(エンゼルスタジアム)の1打席目で打てたので、そこはうれしかった」

 ――初登板時の緊張の原因は?

 「今年くらい結果が出ずにシーズンに入ることはなかった。その点でいえば打席もそうだけど、投手の方は特に不安が大きかった」

 ――初本塁打でメジャー流の儀式「サイレント・トリートメント」を受けた。

 「最初は分からなかったので嫌われてるのかなと思った。嫌われてなくてよかった(笑い)。自分のためにこの時間をつくってくれて、うれしかった」

 ――8月以降の本塁打量産は打撃フォームの修正が奏功したのか、データ自体を見直した成果か。

 「どちらもある。(フォームは)自分で感じていた部分だったり、客観的にコーチからアドバイスを頂いたり。相手のデータをさらに上回っていく読みをすることであるとか、単純にメカニクスを安定させることであったり。そういうところで少しずつ修正できた」

 ――二刀流で酷使した体の回復は。

 「飛行機移動が長いと聞いていたので、そこでの時間の使い方が大事だと思っていたが、一年間スムーズにできた。選手しか乗っていない飛行機なのでリラックスして次の試合に向けて(いい状態を)つくることができた」

 ――ア・リーグ新人王に輝いた。

 「率直にうれしかった。最終的な3人に選んでもらえた時点でうれしい。それくらいレベルの高い場所で一年間できてよかった」

 ――自信はあった?

 「日本で5年間やってきた自信もあったし、日本のプロ野球のレベルに対しても獲りたい気持ちもあった。行ってみると凄いレベルも高かったし、どこで何をやってきたかは関係がなく(そこが)勝負するところというのは感じた。自分が受賞してうれしいが、それと同じくらいのリスペクトが(他の)選手に対してある」

 ――メジャーリーグはどんな場所だったか。

 「個人の差もそうだし、日本と米国の全体的な差もそう。行ってみないと(その差が)分からない。行った直後は本当に全てが違った。野球自体が文化も含めて違う。レベルが総合的に、パワーだけではなく、技術もスピードも総合的に高い」

 ――日米の野球の違いを具体的に。

 「一番は技術。フィジカルは見ていれば分かるけど、考えていた以上に先の技術が凄く多く取り入れられている。自分が変わって、よりよい方向に変化していかないとついていけない部分も多かった。そこを理解するのにも少し時間もかかった。できる限り自分のやり方でやっていきたいとも思っていたので(変化への)葛藤もあった」

 ――エンゼルスの印象は?

 「凄くいい人というか気さくな人が多い。向こうから話しかけてもらったり、おそらく気を使ってもらっている部分も多少あった。いいチームに入れて野球できてよかった」

 ――最も影響を受けたチームメートは?

 「いっぱいスター選手がいて、みんなから影響は受けたけど、やっぱりマイク・トラウト選手は球界を代表するトップの選手ですし、技術も、人間性も含めて本当に素晴らしい。見習うところしかないなという、そういう選手と思う」

 ――人として何かを学んだ?

 「日本にいたときもそうだけど、上に行けば行くほど人間として素晴らしい選手が本当に多いなと感じる」

 ――新人王を獲得する活躍に他の日本人メジャーリーガーから祝福の言葉は?

 「たくさん頂いた。ありがたいと思っているので返信もさせていただいた」

 ――差し支えなければ、内容を。

 「差し支えあります(笑い)」

 ――今シーズンの点数。

 「あまり自分に点数はつけないので、何点というのはない。(右肘の故障で)離脱してしまったという点を考えればあまり良い点数にはならないのかなと思う」

 ――10月に右肘の手術を受けた。

 「肘にメスを入れることには、もちろん抵抗はあった。長期的に見たら健康な状態で不安なくマウンドでパフォーマンスが出せるというのが一番なのかなと思った」

 ――右肘を3度故障しているが、その原因、要因、改善点は?

 「原因がこれだって分かっていれば一番楽だけど、その要因が一つじゃないので難しい。変えられる点でいえば、フォームをよりよくスムーズに効率よく投げられるところに持っていくこと。投手なら誰でもやるべきことの一つではある」

 ――球速160キロ超のパワーも要因。

 「人より速い球を投げられるという点に関しては、より大きな負荷がかかるのは仕方がない」

 ――投手復帰に向けて。

 「より負担が少なく、より効率よく投げていくことが一つ。それと並行して全体的にレベルを上げていかないとなかなか結果が伴ってこない。マウンドに立てなくても勉強になることはたくさんあるので、復帰した時に実践できればと思う」

 ――二刀流はいつ頃、どちらかに絞ることになると思うか。

 「最終的に代打に専念する方もいれば守備をメインにして出場する方もいる。プロの生活をしていく上で自然に入っていく方もいるが、最初からそこに行く人の方が珍しいと思う。そういう捉え方をすれば、今の段階で考えるのはあまりない。自然な流れの中でどちらになる可能性はあるが、今の段階では全くない」

 ――来季残したい数字は?

 「来年は打者でいくことになると思うが復帰時期は明確に予想できない。全体的な量が出せないので数字も出せない。数字ではなく、ポストシーズンに行きたいというのは今年一年で強くなった」

 ――この一年で支えになった人は。

 「お世話になったのはやっぱり(水原)一平さん。通訳として一年間一緒にやってきたし、私生活の上でも本当にお世話になった」

 ――英語の上達は。

「ほぼしていない」

 (同席の水原氏がフォロー)「聞き取る方(の上達が)が凄い。これからしゃべる方も上達して、通訳も必要なくなるんじゃないかな」

 ――両親からはどんな言葉が?

 「母にしかまだ会っていない。まだ地元にも帰っていないので兄や姉にも会っていない。母からは、まあ、お疲れさまと」

 ――日本で何を食べたい?

 「おいしいお寿司をまず食べたい」

 ――米国では自炊。

 「自炊といっても朝だけ。軽くオムレツを作ったり、その程度かな」

 ――結婚の予定は?

 「結婚に関しては、全くもってないので」

 ――いつまでに?

 「ないですね」

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