DeNAドラ2伊藤裕、大学最後の打席で立正大V弾「素直にうれしい」

[ 2018年11月15日 05:30 ]

明治神宮野球大会 大学の部決勝   立正大6―4環太平洋大 ( 2018年11月14日    神宮 )

逆転本塁打の立正大・伊藤裕は試合後に涙を流す (撮影・西川祐介)
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 大学の部決勝が行われ、立正大(東都)が環太平洋大(中国・四国3連盟)に6―4で逆転勝ちし、初優勝した2009年以来9年ぶり2度目の優勝を果たした。DeNAからドラフト2位で指名された4番で主将の伊藤裕季也内野手(4年)が8回に逆転2ランを放ち、歓喜の涙を流した。日本一を手土産にプロの門を叩く。

 打球を目で追うこともなく、味方ベンチに向かって吠えた。8回に左翼席中段に消える豪快な逆転2ラン。伊藤裕はベンチに戻ると、泣いて迎えたナインにもらい泣きした。優勝の瞬間は二塁でしばらく動けず、また泣いた。

 「素直にうれしい。頑張ってよかった」

 3打席目まで無安打。6回には自らの失策から3点勝ち越された。「投げていた釘宮のためにも取り返そうと思った」。8回、3番・小郷の中前適時打で1点差とし、なお1死一塁。「小郷(の盗塁)を警戒して直球が来る」。狙い通り、初球の直球を振り抜いた。「4番、主将としてここで打てないと勝てない」。持ち前の勝負強さを大学最後の打席で発揮した。

 重圧に耐えた一年だった。エクセルで自前のデータ作りをするほど真面目な性格。昨秋1部に昇格し「先輩たちが1部に上げてくれた。(2部に)落とせないプレッシャーがあった」。主将としてチームをまとめることに苦悩する日々。それでも坂田精二郎監督から「おまえはいるだけでプレッシャーになる。4打数1安打でも勝負どころで打てばいい」と言われ、プレーで引っ張った。今秋のリーグ戦は開幕3連敗を喫したが、その逆境から東都を制した。この日は4打数1安打。その1安打が日本一を決める一発である。見守ったDeNAの武居邦生スカウトも「勝負強さはプロに入っても大事」と頼もしげだった。

 「これ以上ないくらい苦しい4年間だった。これを糧に頑張りたい。プロで通用するためにまた練習したい」と伊藤裕。うれし涙が乾いた目は、次のステージへ向いていた。(松井 いつき)

 【伊藤 裕季也(いとう・ゆきや)】

 ☆生まれ&サイズ 1996年(平8)8月30日生まれ、三重県出身の22歳。1メートル81、96キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 小4から野球を始め、四日市トップエースボーイズを経て日大三に進学。2年春からベンチ入り。甲子園出場なし。立正大では1年秋からベンチ入りし、今夏に大学日本代表入り。今秋の東都リーグでは打率・244ながら2本塁打、8打点でMVP、ベストナインを獲得。

 ☆「不屈の男」 大学日本代表で8月に高校代表と壮行試合を行い、柿木(大阪桐蔭、日本ハム5位)から中堅へ一発。歩くようにダイヤモンドを回ったことが波紋を呼んだ。実は練習中の自打球の影響で、試合2日前まで松葉づえ生活。普通に歩くのも困難だった。事情を知った野球ファンからは不屈ぶりに称賛の声が上がった。

 ☆趣味 音楽鑑賞。

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