大谷にイチロー流祝福「獲得して当然の立場 実は思いのほか難しいもの」

[ 2018年11月14日 05:30 ]

イチロー(右)と大谷
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 「翔平、おめでとう」――。マリナーズのイチロー外野手(45)が、01年の自身以来となる新人王を受賞したエンゼルス・大谷への祝福談話を発表し、最後にこう結んだ。期待と重圧の中でタイトルを獲得することの難しさは誰よりも知っている。

 「推測ですが、翔平にとっては獲得したいタイトルというより“獲得しなくてはならないタイトル”というスタンスであったのではないでしょうか。いわば最低でも新人王ということです」

 17年前の同じ11月12日(米国時間)。首位打者と盗塁王を獲得したイチローも28人中、27人の1位票を集める圧勝だった。当時「僕にとってはどうしても獲らなければいけない賞だった」と語った。そこには、日本のトップ選手としてのプライドがにじむ。しかし、自身に続く選手はしばらく現れなかった。

 「この17年間、そのような立場の(日本)選手が何人かいたように思いますが、新人王が生まれることはありませんでした。獲得して当然の立場で実際にそれを達成することは実は思いのほか難しいものです」

 1年目の苦悩も見てきた。アリゾナ春季キャンプ中、思うような打撃ができない大谷がバット1本を持って、自宅を訪れた。以前から交流があったイチローは、自分の才能を信じることの大切さを説いた。5月に現役のまま会長付特別補佐に就任したため、今季の対決は実現しなかったが「サイ・ヤング賞の翌年に本塁打王とか、そんな空想でもしないことを現実にできる可能性のある選手」と熱い視線を送ってきた。

 「この先、どれくらい同じ時間を共有できるかは僕次第ですが、この歴史的にも希有(けう)な存在の選手と渡り合うべく、励んでいきたい」

 来年の日本開幕戦に向け、現在は国内で練習を行っている。大谷の存在が「最低50歳まで現役」というイチローの意欲を駆り立てている。

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2018年11月14日のニュース