米記者12人に聞く 誰に1位投票?レ軍担当「家で大谷を見るのが日課に」

[ 2018年11月14日 09:01 ]

水原通訳(右)と今季のア・リーグ新人王選出を喜ぶ大谷(Angels Baseball提供)
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 【誰に1位投票?米記者12人に聞く】

 《1位・大谷翔平》

 ▽ショーン・マクアダム(ボストン・スポーツ・ジャーナル=レッドソックス担当)1年前、レッドソックスが大谷の勧誘ビデオを作った時、2つの目玉があった。一つはルースの二刀流を100年ぶりに同じ場所で再現してほしいというもの。もう一つは松坂大輔に「ボストンは日本選手にとって良い環境」と語りかけてもらったことだ。彼が入っていたら、今季レ軍は何勝して優勝していたかなと思う。4月の対戦時はみんながワクワクしていた。私は東海岸でレ軍戦を取材後に、家のテレビで西海岸の大谷のプレーを見るのが日課になってしまった。

 ▽スティーブ・メルースキー(MASNスポーツ=オリオールズ担当)ボルティモアは二刀流の元祖であるベーブ・ルースの生まれた街。それもあって、大谷がルース以来の本格的な二刀流に挑戦するのをとても楽しみにしていた。シーズン前から大変な話題になり、ケガで離脱してしまった部分もあるが、健康にプレーしていた時は見事に期待に応えたと思う。批判的な発言をする人はチームがプレーオフに出ていないとか、百数試合しかプレーしていないとか、いろいろ言うけれども、それを差し引いても十分に中身の濃い百数試合だった。

 ▽ジョー・ノガ(クリーブランド・ドットコム=インディアンス担当)実は私はイチローの大ファンなんだ。打ってよし、守ってよし。大谷を見て偉大なイチローをより大きく強く、パワフルにした選手だと思った。クルバーをはじめ、インディアンスの投手から4本の本塁打を放ったけど、私が一番印象に残っているのは、8月にクリーブランドで見せた走塁。強肩の遊撃手リンドアから内野安打を奪ったスピードが目に焼き付いている。細かい数字は私はあまり興味がない。全てにおいてエリートレベルのプレーを見せる、そこに魅了されている。

 ▽チャンドラー・ローム(ヒューストン・クロニクル=アストロズ担当)アンドゥハーは打力はいいが、守備で時に足を引っ張る。シーズンを通して活躍したとはいえ、マイナスだ。大谷は1919年以来、誰もやれなかったことをやり、最終的には左投手も打てるところを見せた。アストロズの選手やフロントに聞いて回ったが絶賛していた。特にバーランダーは、2500個目の三振を大谷から奪い「年老いたときに、あの選手から取ったんだと孫たちに自慢したい」と語った。メジャーを代表する選手たちが新人の大谷に最大級の敬意を払っていた。

 ▽リン・ヘニング(デトロイト・ニューズ=タイガース担当)66歳の私は40年間、全米野球記者協会のメンバーとして野球を取材してきた。99年に木田がタイガースに来た時、仲の良かったパンチョ伊東に「この投手はどうなんだ」と電話したのを思い出すよ。その後、イチローの衝撃。松井秀、松坂ら凄い選手を次々に輩出した。そんな中でも大谷は素晴らしいと思う。私は打撃は特に習得が難しい技術だと思うし、投球も非常に奥が深い。両方高いレベルでやるなんて信じられない。他の新人王候補には申し訳ないが、今回は勝負にならなかった。

 ▽レット・ボリンジャー(MLB.com=ツインズ担当)5月にツインズと対戦した際、投手では7回途中を11奪三振、被安打3、1失点の好投、打者では本塁打と二塁打で2打点の試合があった。ツ軍の一塁手モリソンは「世界一の選手」と称えていたが、私もそう思った。現在の球界では彼の同僚のトラウトがベストプレーヤーだが、トラウトは投げられない。投打でスーパースターは彼だけ。エース投手兼中軸打者だからね。大谷に1位票を投じるのに迷いは全くなかった。アンドゥハーもトーレスも良かったけど、大谷とは比較にならない。

 ▽ダン・ヘイズ(ジ・アスレチック=ツインズ担当)これまで約100年近く存在しておらず、到底不可能と思われた本格的な二刀流をこれほどまでに成し遂げたのは、驚くべきことだ。ウェンドル、アンドゥハーら他の新人たちのパフォーマンスも素晴らしかったが、明らかに大谷の偉業にはかなわない。大谷のことはシーズン前からとても注目していて、中6日でどう調整するのか、シーズンを通してやり続けるのは可能なのかと気になっていた。残念ながら右肘のケガでシーズンを通しての二刀流とはならなかったが、新人王には十分に値する。

 ▽ジル・ペインター・ロペス(FOXスポーツ=エンゼルス担当)投打に優れたプレーを見せただけでなく、盗塁も2桁でベースランニングも巧み。総合的に見て、傑出した野球選手だった。新人王は本塁打コンテストでも、打点コンテストでもない。全般的に見て判断したい。大谷の野球選手としての心身両面のたくましさに何度も目を見張った。特に印象に残るのは右肘の手術を勧告された日に2本塁打をかっ飛ばしたこと。何てメンタルが強いんだと驚いた。彼のレベルの二刀流は今後そうそう現れないと思う。長い歴史の中でも特別な選手。

 《1位・アンドゥハー》

 ▽ディック・スカンロン(レークランド・レジャー=レイズ担当)私にとっては、MVPでも、サイ・ヤング賞でも、新人王でも、全て基準がある。チームの勝利にどれだけ貢献できたかが重要になる。ケガなく、いいコンディションで、シーズンを通して攻守両面でプレーすることが非常に大切だということ。もちろん、そこにはチーム成績も関係してくる。だから今季の新人王にはアンドゥハーを選んだ。シーズンを通してプレーし、いい数字を挙げた人、それが私の考える新人王。2位のウェンドル、3位のヤーブローも年間を通して貢献した。

 ▽フアン・トリビオ(ジ・アスレチック=レイズ担当)私にとって初めての投票。アンドゥハーか大谷かで、9月末は凄く迷った。記者仲間だけでなくレイズの選手たちの意見も聞いて決めた。結局アンドゥハーにしたのは、162試合通してのチームへの貢献度を重要視したから。ジャッジらヤンキースの選手がケガで戦列を離脱する中でシーズンを通して試合に出続け、チームのプレーオフ進出を助けた。大谷は二刀流を実現し、信じられない活躍だったけど、長期戦列を離れた。アンドゥハーの方が貢献度が大きく、価値があると判断した。

 ▽ジュリアン・マクウィリアムズ(ジ・アスレチック=アスレチックス担当)私はアンドゥハーを1位に選んだ。いち野球選手として比較すれば当然ながら、大谷が上だと思う。プレーがダイナミックだし、あんな才能ある選手は見たことがない。だが、アンドゥハーはシーズンを通してプレーしていい数字を残し、チームの勝利に貢献した。ヤンキースがプレーオフに進出する上で欠かせない働きだった。今季に関しては、彼の方が価値が高かったというのが私の考えだ。アンドゥハーはケガ人の多かったチームを、新人ながら見事に救った。

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