近大サヨナラで12年ぶり神宮切符 合言葉は「平成最後の日本一も近大」

[ 2018年10月29日 16:30 ]

関西地区大学野球選手権大会決勝・第1代表決定戦   近大2―1関西国際大 ( 2018年10月29日    大阪・南港中央 )

延長10回裏、暴投でのサヨナラ勝利に沸く近大の選手たち
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 明治神宮大会(11月9―14日)出場権を5連盟優勝校で争う関西地区大学野球選手権大会は29日、大阪市の南港中央野球場で決勝(第1代表決定戦)を行い、近大(関西学生)が延長10回サヨナラで関西国際大(阪神)を下し優勝、12年ぶり13度目の明治神宮大会出場を決めた。敗れた関西国際大は敗者復活2回戦を勝ち上がった京産大(関西六大)と30日、第2代表決定戦を戦う。

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 延長10回裏、タイブレークからつかんだ1死満塁、暴投でサヨナラの走者、代走の溝田恵吾(2年=近大福山)が生還すると、ベンチから選手が飛び出した。人差し指を秋空に突き出す「ナンバー1」ポーズで沸き返った。

 田中秀昌監督(61)も「いつ以来ですかね」とすぐに思い出せないほど、秋の神宮から遠ざかっていた。近大の明治神宮大会出場は2006年以来12年ぶり。同大会が始まった1970年以降、最も長いブランクを経て、名門が秋の神宮切符をつかんだ。

 この秋の合い言葉は「平成最初の日本一は近大 平成最後の日本一も近大」。1989(平成元)年に明治神宮大会で初優勝。平成最後となる今秋も全国優勝で締めくくろうと言い合ってきた。

 この日の第1代表決定戦の相手は関西国際大。27日に16奪三振で完封していたエースの左腕・武次春哉(1年=西脇工)先発を想定していた。田中監督は「練習で左投手を打ち込んできていた。先発投手を見て、あれ?と思った」と驚いた。相手先発はスリークォーターの右腕、森国広太(4年=岩国商)だった。

 戸惑いがあったかもしれない。1回裏の1死一、二塁で4、5番が凡退。その後は打ちあぐんだ。しかも5回表に1点を先取される苦しい展開だった。

 打線に活を入れたのは途中から遊撃に入っていた「守備の人」、前田一樹(3年=近大付)だった。8回裏先頭、左中間に二塁打を放ち出塁。バントと山川晃汰(3年=長崎商)の中犠飛で同点の生還を果たした。

 「何とか塁に出ようと思っていた。僕が打つとベンチが沸いているのが分かった。ふだんはしないガッツポーズをしてしまった」

 前田の活躍で息を吹き返したわけだ。

 投げては8回表から救援した右スリークォーターの村西良太(3年=津名)が好投し、流れを引き寄せた。

 「初体験で少し緊張した」というタイブレークの無死一、二塁からの延長10回も1死二、三塁から藤原朋輝(4年=PL学園)、平野晴也(3年=関西)を退けた。

 藤原を迎える直前、田中監督から「大丈夫。三振取れるから」と励まされた村西は「真っすぐで追い込んで、最後はスプリット」と狙い通りの投球で見事空振り三振に切ってみせた。

 腕が横手気味から出て、通常は苦手とされる左打者対策に今春からスプリットフィンガードファストボール(SFF)を磨いた。

 「ウエートトレをやり、練習量も増やした」と、球速も今秋の同大戦で自己最速を更新する150キロを計測した。

 リーグ戦から救援、クローザーを務める。「僕が登板する時は接戦かピンチ。先発へのこだわりですか……。特にないです。神宮でも、最後にマウンドに立っていられれば……と思います」

 1997年以来、21年ぶり3度目の神宮大会制覇、胴上げ投手を夢見ていた。 (内田 雅也)

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