BC武蔵・安河内、男・村田うならせた2浪右腕 ケガで一度諦めた夢今度こそ

[ 2018年10月25日 09:14 ]

武蔵ヒートベアーズ・安河内(写真提供:(株)埼玉県民球団)
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 【ドラフト会議 隠れた逸材ファイル(下) BC武蔵・安河内駿介投手】安河内は独立リーグ最注目の右腕だ。波瀾(はらん)万丈な「2浪」の道を乗り越え、ドラフト候補に名乗りを上げた。

 東京国際大では2年秋の東京新大学リーグ戦で、早くもエース格として4勝。「順調ならプロに行ける」と自信を持った。ところが3年春の練習試合で右肘じん帯を損傷。約1年を棒に振り、復帰すると右肩が上がらない症状に襲われた。原因不明。一度は夢を諦めた。

 転機は4年生の7月。福井で整骨院を営む山内敏夫さん(62)との再会だった。一般企業に入社が内定し、高校時代に治療を受けて以来交流があった山内さんに野球をやめた旨を伝えると、その流れで肩を診てもらった。「俺を信じて任せてくれ」という力強い言葉。施術を受け、投球練習を試すと10球に1球は痛みがなかった。「野球ができるならもう一度挑戦したい」。内定先に断りを入れた。

 1年間は痛みのないフォームを1人で試行錯誤。17年初め、都市対抗出場を目指して野球部を立ち上げた会社に入った。だが、部員は5人だけで、労働も深夜3時から13時間という悪環境。3カ月で退社し再び自主練習の日々に戻った。

 10月にプロ球団のテストを受け不合格。それでもBCリーグのドラフトで武蔵に指名された。5年ぶりの公式戦で150キロを出し、主にクローザーを務めて前期防御率0点台。後期で調子を落としたが、プロ球団から調査書が届く活躍だった。

 最速151キロの直球は今季BC栃木に在籍した元巨人の村田修一氏が「スピン量が多いから普通の打ち方じゃ打てない」と判を押す。「野球ができない時期があったから、楽しめる武器がある」。遠回りした剛腕が、吉報を待つ。(武田 勇美)

 ◆安河内 駿介(やすこうち・しゅんすけ)1994年(平6)2月8日生まれ、福岡市出身の24歳。小4で野球を始め、投手一筋。秀岳館では3番手投手として戦った3年夏の熊本大会で準決勝敗退。東京国際大からブランクを経て今季、BC武蔵入り。38試合登板で防御率2・37。1メートル74、79キロ。右投げ右打ち。=終わり=

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