【検証由伸政権(3)】原氏にすがる球団 進まぬ指導者の世代交代

[ 2018年10月23日 09:00 ]

3年間V逸の「なぜ」

巨人の高橋監督
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 「(4年連続でV逸した)難しい状況で引き受けてもらう。やはり経験、実績は必要」――。10月3日。巨人は高橋監督の今季限りでの退任を発表。後任の理想像を問われ、山口寿一オーナーは冒頭のように返答した。

 チームがCS進出を決めた翌日の10日。都内の球団事務所で原辰徳氏と会談し、監督就任を要請した。同氏からも、前向きな返事をもらった。通算12年間で7度のリーグ優勝、3回の日本一。山口オーナーの求めている監督像と合致する人物は同氏しかいない。

 当然ながら原氏に対しては歓迎の声が上がる。その一方、球団の方針には首をかしげる者もいた。「球団として何もできない。だから原さんのカリスマ性にすがるしかない。いったい、この3年は何だったのか。うちの会社は球団の将来像を描くことができない」とある球団幹部は嘆く。

 15年シーズンを終え、リーグ4連覇を逃した当時の原監督は「チームには新陳代謝が必要。次の世代、その次の人たちにジャイアンツを託そうと」と退任理由を語った。しかしながら、高橋監督の3年間。2、3軍監督は経験豊富なベテランたちが中心であった。

 イースタン・リーグ4連覇を果たした川相元監督には評価もある半面、「2軍なのに勝つことにばかり徹している。1軍に一人でも選手を送り込むのが本来の目的のはず」と疑問を持つ関係者もいた。その川相氏も江藤3軍監督も退団し、また一からの出発だ。

 原氏が残した言葉に真剣に耳を傾けていれば、次世代の指導者を育成するような仕組みづくりに取り組めたのではないか。高橋監督も引退後に間を空けられず、監督になった。4年連続V逸の間、選手だけでなく、指導者の世代交代も結果的に苦戦している格好だ。

 原監督の就任期間は2、3年を予定。その間、球団として何ができるだろうか。ポスト原の育成、フロントの整備、選手だけでなく、指導者の育成システムづくり――。高橋監督が率いた3年間を無駄にしてはならない。

 この期間に得た教訓。これを、原氏がチームを率いる間に球団としてどう処理し、形にできるか求められる。 (特別取材班)=終わり=

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2018年10月23日のニュース