リクエスト元年を振り返る より精度の高いシステムを構築するために必要なこと

[ 2018年10月23日 11:15 ]

<西・ソ>5回2死一塁、秋山(右)の盗塁失敗判定はリクエストで覆ることはなかった(撮影・木村 揚輔)
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 アウトの判定が出た瞬間、個人的には「セーフではないか。リクエストすべき」と思った。パ・リーグCSファイナルS第5戦。西武・秋山が5回に二盗を試み、盗塁死した場面だ。

 辻監督はすぐさまリクエストを希望。約10分間ものリプレー検証の末、判定の通りアウトとなった。それだけ際どいプレーでもあり、10分間もの中断は結果的に試合の流れを変えることになった。

 責任審判の森三塁塁審は「重大な場合なので何度もじっくり見た」と説明した。この姿勢自体は素晴らしいことだと思う。それでも10分間もの中断は、どう考えても長すぎた。

 大リーグのチャレンジとの違いは、設置されているカメラ台数と、その映像を元に専門的に検証する大リーグ機構が設置した専用スタジオの存在。根底が違うので単純な比較はできない。もっとも、リクエスト元年を終えるこのオフ、多くの検証と議論は必要だろう。

 32・8%対47・4%。この数字はリクエスト元年のNPBと、チャレンジ元年だった14年のMLBにおいて、判定が覆った確率だ。

 大リーグではベンチ裏に、映像を生で検証している専門スタッフを各チームが用意。彼らの判断に基づき、監督がチャレンジする意思を伝える。原則的に「勝てる戦(いくさ)」しかしないシステム。そのスタッフの眼力の差もチーム力に表れる。14年は最も判定を覆したヤンキースの成功率74・2%に対し、最下位のブルージェイズは34・8%だった。

 日本は監督やコーチらがベンチから肉眼で見て、当該者たる選手の表情やジェスチャーも加味して判断するだけだ。

 結果、検証を求めても、日本の方が成功率が下がる。雑に言えば「ダメもと」のリクエストも増えてしまう。大リーグのチャレンジは原則、各チーム1回の失敗しか認められていないのに対し、日本は2回まで。この数字の差も、成功率が低いことを想定して決められている。そしてその猶予は「ダメもと」を助長しかねない。

 長年の課題である試合時間短縮にも、明らかに逆行してしまう。チャレンジへの投資に30億円以上費やした大リーグとは違い、日本の機構側にそれほどの資金はない。ならばできることは何なのか。身銭を切れない以上、12球団は一方的な不平不満を述べるにとどまらず、建設的な意見を出し合って、できる範囲内でより良いシステムを目指していってほしい。テニス、サッカーなど他競技でもこれだけビデオ判定システムが発達している以上、12球団が均等に身銭を切ってでも、今より精度の高いシステムを構築すべきではないかと思う。(記者コラム・後藤 茂樹)

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