【斎藤隆氏サミーレポート】「オープナー」が短期決戦の戦術変える

[ 2018年10月19日 09:40 ]

パドレスの球団アドバイザーとして活躍する斎藤隆氏
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 MLBは今年、また新しいトレンドが生まれました。救援投手を先発させ、2回から本来の先発投手を起用する「オープナー」と呼ばれる戦術です。初めて使ったのがレイズで、今季、救援投手が挙げた勝ち星は30球団最多の54勝。次いで45勝を稼いだアスレチックスもシーズン途中から活用し、ポストシーズンに進出しました。

 監督にとって、投手起用で一番難しいのは、「どこで先発投手に見切りをつけ、継投策に入るのか」でした。しかし、そんな長年のテーマを解決してしまう画期的な戦術とも言えます。ポイントは、初回、そして試合中盤の5、6回にいかに失点しないか。先発投手に疲れが見え始めるイニングであり、一方で打者は3巡目に入ってくるので、球筋や配球にも慣れ、有利な立場になります。

 特に現代野球は2番に強打者を置く傾向にあります。「オープナー」は、立ち上がりが難しいと言われる初回を、1イニング専門の救援投手に任せてしまう。そうすることで、2回からマウンドに上がる先発投手は上位を避けた打順から試合に入り、仮に6回まで5イニングを投げたとしても、1〜4番打者との対戦はせいぜい2度で、5回までの4イニングなら1度しか対戦しないかもしれません。リスク回避に重点を置いた発想は、ビジネス的な考え方と言えるでしょう。

 ただ、それができるのは、スモールマーケット球団ゆえ。高額年俸の先発投手を3、4枚そろえることができるチームは必要ありません。いわば「弱者の戦術」なのです。

 全球団がこのトレンドに追随することはないでしょうが、来季以降も優勝争いが佳境のシーズン終盤や、短期決戦のポストシーズンの戦術として定着する可能性はあります。そうなると、野球も変わります。例えば、投手は3打席トータルの配球を考えて投げるのではなく、いかに1回り目を抑えるか。逆に打者は1打席目から結果を出す対応力が求められます。

 昨年から注目されている「フライボール革命」もそうですが、データ分析の進歩が、次々に新しい「野球」を生み出しています。それがMLBの面白さとも言えます。(パドレス球団アドバイザー)

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