プロ野球の監督にとって絶対不可欠な資質がある

[ 2018年10月16日 09:30 ]

ヤクルトの小川監督(左)
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 【君島圭介のスポーツと人間】それはベンチの中心になれることだ。選手が監督の存在を何よりも意識することで、チームは強くなる。

 30年ほども昔の話だが、あるベテラン野球記者が当時中日監督だった故星野仙一氏について語った言葉が忘れられない。

 「仙ちゃんが凄いのはベンチに座った選手たちに『このオッサンを勝たせてやろう』と思わせるところだ」

 鉄拳制裁など暴君の印象が強い星野氏だが、とにかく選手に愛された。だから阪神、楽天と3球団で優勝監督にもなれた。

 「この人を笑顔にしたい」と思わせたのが長嶋茂雄氏で、「恥をかかせてはダメだ」と選手を奮い立たせたのは王貞治氏の威厳だった。

 最近ではロッテの選手に「ウチの監督ほど野球を知っている人はいない」と言わしめた伊東勤氏も素晴らしい資質を持った監督だと思った。

 逆にマスコミを通して嫌味ばかり言って「何くそ、見返してやる!」と選手の負けん気をあおる面白いタイプもいる。十人十色だが、名将に共通するのはベンチの中心にいて、選手が常に意識する存在であることだ。

 家族のため、お金のため、または野球が好きだからと選手が働く理由はゴマンとあるが、それは個人成績の向上にはつながってもチームが勝つには足りない。求心力とは違う。絶対無二の存在感。それが監督に必要な資質なのだ。

 現役の監督でこの資質を持つのは誰か。個人的な意見だが、ヤクルトの小川監督ではないかと思う。

 今年8月14日の巨人戦(神宮)。1点差の9回1死満塁で川端の右越え二塁打がヤクルトをサヨナラ勝ちに導いた。

 その試合、7回まで4―0とリードしていた。ところが8回に巨人戦3年越し6連勝中の小川がつかまった。1点を奪われたところで小川監督は近藤へスイッチ。この継投が裏目に出て、この回5点を奪われ、一度は逆転を許した。

 サヨナラ勝利の余韻の中、小川監督は投手交代について「判断を早まった。この試合を落としたら選手に申し訳なかった」と潔く認め、「僕の(継投)ミスを選手がカバーしてくれた」と言った。

 年齢を言えば失礼だが60歳のベテラン監督が試合直後に自らの采配ミスを認め、選手に謝った上、素直に感謝したのだ。この試合がヤクルトにとって昨季の最下位から2位に躍進を遂げる節目の試合になったと思う。

 近年はゼネラルマネジャー(GM)を置くなど球団主導の編成が主流だが、チームの命運を握るのが監督であることは変らない。すでに来季は5球団で新監督が指揮を執ることが決まっている。すでに日本一を達成して資質を証明した経験者もいるが、3人の「新人」監督はどんな色を持っているのか、今から楽しみだ。(専門委員)

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