阪神・中谷 希望の一発「振り負けないように。積極的に」執念の狙い撃ち

[ 2018年10月11日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2―1DeNA ( 2018年10月10日    甲子園 )

<神・D>6回、中谷は左越えに同点の5号ソロを放つ(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 最後に「らしい」打球を見せてくれた。0―1の6回1死走者なし。岩田の代打で登場した阪神・中谷が、DeNA4番手・三嶋の149キロを捉えて左翼席最前列に運んだ。2ボール1ストライクの4球目。狙い撃ちだ。

 「速い真っすぐに振りまけないように、積極的に振っていこうと思っていました。しっかりと、自分のスイングをすることができました」

 9月27日に大山が記録したランニングホームラン以来、チームとして12試合ぶりの本塁打。スタンドインは中谷自身が放った同22日広島戦以来で、甲子園に限れば約1カ月ぶりとなる。久々に見られた放物線が同点弾となりスタンドは湧いた。

 初回から淡泊に見えてしまう拙攻が続き、5回までわずか3安打無得点に抑えられていた。それでも、大きく負け越してきた甲子園の最終戦をこのまま終わらせるわけにはいかない。最後くらい――。中谷の一発が号砲となり、その後、打線は勝ち越した。

 ブレークした昨季は20本塁打。ただ、今季は開幕前から悩み、首をひねる時間が長かった。宜野座キャンプ、オープン戦を通じ思うようなスイングができない。「皆打ってるし、出遅れてる感じ。焦りはあった」。勢い十分にアピールする同僚達に取り残され、開幕は2軍で迎えた。

 1度、昇降格を経験して再び上がってきたのは9月16日。限られるチャンスにしがみつき、この日やっと、納得の打席を迎えられた。シーズンラスト2試合で記録した5号は手放しで喜べる数字ではない。「とりあえず、良かったです…。(自分は)頑張るだけです」と試合後に残した控えめなコメントが、その心情を物語る。

 中谷はこんなもんじゃない――。昨季の姿やそのポテンシャルを知る者はみな、そう思っている。残り1試合、そして、来季へ弾みを付ける一撃だった。(巻木 周平)

続きを表示

2018年10月11日のニュース