引退を決めた日本ハム・矢野 信頼され、慕われ、愛される理由とは

[ 2018年10月7日 12:13 ]

日本ハム・矢野
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 寂しい季節がやってきた。西武の松井、広島の新井、中日の岩瀬、浅尾、荒木らレジェンドたちが今季限りでの現役引退を決めた。巨人では杉内、脇谷、西村、山口鉄ら3連覇を支えたメンバーが去り、1つの時代の終わりを感じる。

 個人的に印象深い選手もまた、ユニフォームを脱ぐ。日本ハムの矢野だ。9月28日のジャイアンツ球場。イースタン・リーグの巨人戦に代打で登場した。6回2死二、三塁。146キロの直球を振り抜き、一時逆転となる左越え3ランを放った。ダイヤモンドを一周した矢野はスタンドに一礼し、大歓声に応えた。巨人・戸根は5球すべて直球勝負。「感触はよかった。真っすぐばかり投げてくれた相手の戸根君に感謝したい」。さらに続けた。「みんながつないでくれたおかげで最高の結果になった。それと、色んなことを配慮してくれたことが本当に嬉しい。感謝しかありません」。

 引退表明直後の試合だった。巨人で13年、日本ハムで3年、計16年。偶然にも、古巣の2軍本拠地でプレーする機会が訪れた。「このタイミングで、今日をこのグラウンドで迎えられたことは本当についてるな、恵まれてるなと思います」と笑顔を見せた。スタンドには巨人時代、日本ハム時代双方のユニフォームを着たファンの姿があった。5回終了後と試合後には「ありがとう、ケンジ」コールが降り注いだ。監督から信頼され、チームメートから慕われ、ファンからこんなにも愛される。なぜなのだろう。理由は様々あるだろうが、誰に対しても感謝の気持ちを持ち続けていることがその1つだと思う。

 試合終了後。両チームに囲まれ、10度宙を舞った。「本当にありがたいです。内海、山口、沢村が最後まで残って待ってくれて、胴上げしてくれた。両チームの仲間たちに感謝しかない」。約1カ月ぶりの打席で見せた勝負強さとともに、すべての人へ感謝する姿が目に焼き付いた。(記者コラム・岡村 幸治)

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2018年10月7日のニュース