球団初3連覇の広島・緒方監督「失敗から学んだ」就任1年目の4位

[ 2018年9月27日 05:30 ]

セ・リーグ   広島10―0ヤクルト ( 2018年9月26日    マツダ )

<広・ヤ>胴上げされる緒方監督(撮影・奥 調)
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 広島が26日、球団史上初のセ・リーグ3連覇を達成した。優勝マジック1で迎えたヤクルト戦に10―0で快勝。1991年以来27年ぶりの本拠地胴上げで緒方孝市監督(49)は9度、宙を舞った。

 V決定と同時に、27年分の歓喜が本拠地にはじけた。この瞬間を待ちわびた3万2千人超の大歓声が降り注ぐ中、緒方監督はナインの手に身を委ねて宙を舞った。現役時代の背番号と同じ9度。晴れ晴れとした表情に達成感がにじむ。選手たちは本当に頼もしい――。甘美な空間に包まれ、心からそう思った。

 「ここまで来るのに厳しく、苦しい試合が多かった。ケガ人も数多く出た。その中で選手たちは広島に3連覇という新しい歴史をつくってくれた。本当にすごい。誇りに思う」

 セ・リーグでは巨人以外で初の3連覇。過去、セ界V3に挑んだ81年広島、94年ヤクルト、12年中日をことごとく阻止してきた巨人を、16勝5敗1分と圧倒した価値は大きい。しかも決して順風満帆ではなく、丸や鈴木、新井、野村ら投打の主力が故障離脱する危機を乗り越え、3年連続の独走ゴールだ。黄金期は揺るぎない。

 秘めたる決断が過程にはあった。右太腿裏(ハムストリング)筋挫傷で抹消中の丸を自らの判断で半ば強引に5月25日の中日戦から1軍復帰させた。報道陣に「足は治っているだろ」と説明した通り、患部は完治していた。だが、数日前から腰の痛みを訴えていた事実は伏せた。

 「これはごり押し。責任はすべて自分にある」。ミーティングでの発言に緒方監督の覚悟がにじむ。丸には初めての腰痛でも、自身は現役時代に乗り越えた経験があった。1軍から長く離れる悪影響も知っていた。代打でもいい。戦いの環境に呼び戻したかった。

 何しろ、コーチ時代に手を上げても、ひるまなかった男だ。丸なら、苦しくてもリハビリしながらやってくれる――。背番号9の後継者もまた、復帰を促す電話の口調は無愛想だったが、思いを受け止めていた。復帰後の活躍は周知の通り。丸本人の頑張りとトレーナー陣の支え、指揮官の決断と見込み、深い絆の勝利と言っていい。

 純粋に勝つことに没頭した1年だった。今春まで2人の打撃コーチを入れ替わりで横に付けたが、開幕直後には視野の広い東出コーチに一本化。田中、菊池が低迷した8月には提案を受け、看板だった「タナ・キク・マル」を解体した。「いろんな形を模索しながら戦う」。ただ、方向性を間違えていると思えば手綱を締めた。

 「就任1年目(15年の4位)がすべて。失敗から学んだ」。以来、一途に器を広げる努力を続け、カープの野球を追求してきた。失敗から学ぶ人生。それを成功体験に結びつける。選手のせいには絶対にしない。現役時代の故障経験から、丸の奇禍をプラスに転化し、3連覇につなげた今季が顕著な例だ。

 「リーグ優勝という目標は達成できた。ただ、ここはゴールじゃない。日本一にというゴールに向かって一丸で戦っていきたい」

 CSで敗退した昨季と同じ轍(てつ)は踏ない。いざ34年ぶりの日本一へ。失敗体験を大舞台で成功に変えてこそ、緒方監督の愚直な挑戦は実を結ぶ。(江尾 卓也)

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