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野球の言魂(コトダマ) ロッテ・岡田幸文編

26日、引退会見を行った岡田(撮影・森沢裕)
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 【君島圭介のスポーツと人間】「フライなら捕れるけど、バックホームは無理ですよ。でも面白い。2アウトの状況なら、いつかやってみたいですね」

 ロッテ・岡田幸文外野手(34)に以前、子どもみたいな質問をした。その答えがこの言葉だった。

 質問は「外野1人シフトは可能か」だった。サヨナラの走者が三塁にいる場面で、投手はボールが手元で動く速球派。内野ゴロを打たせる確率が高いので、右翼手を一塁手と二塁手の間、左翼手を遊撃手と三塁手の間に配置する。外野は中堅手1人がカバーする。超ギャンブルシフトだが、もし自分が監督ならその中堅手には岡田を指名したい。

 岡田は「(中堅の位置から)左翼と右翼の定位置のフライなら捕れますよ。そこからライン側に寄ったら、打球は捕れるけど本塁返球は出来ない」と言った。真面目に考え、真剣に答えてくれる真摯な姿勢も岡田の魅力だが、「面白い。いつかやってみたい」と目を輝かせる姿からは空想を現実にしてしまうような可能性も伝わってきた。

 プロ野球の中にも岡田の守備を熱心にYouTubeで研究している選手は多い。岡田の守備は派手さがないが、堅実だ。試合の状況やカウント、バッテリーの配球傾向や打者の調子、さらに風など気象条件を一瞬で整理し、最善の位置に移動。打者がバットを振り出した瞬間には動き出す。しかも1球ごとに。そして、涼しい顔をして打球の落下地点でグラブを構えている。

 ある試合の後、右中間を破られた長打を振り返って、「あの打球は捕れなかった?」と聞いた事もある。失礼な質問だが、岡田なら、と思ったからだ。そのとき、顔をしかめて「1歩目で少しスパイクが滑ったんですよね」と悔しがっていたことが忘れられない。広島との交流戦、マツダスタジアムの慣れない天然芝での出来事だった。

 ロッテの試合では、ボールではなく外野で獲物を求める知的で野性味あふれる岡田の守備だけを眺めることも多かった。

 いつか、は実現しなかった。

 「守備に就いていても以前だったら追いついていた打球にも追いつけなかった」

 10年間の現役生活に終止符を打った決断の理由は、潔く、実に岡田らしかった。(専門委員)

[ 2018年9月27日 10:00 ]

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