巨人・杉内から菅野へ。説いたエース道

[ 2018年9月20日 10:40 ]

昨年2月の那覇春季キャンプで笑顔で話す菅野(左)と杉内
Photo By スポニチ

 通算142勝をあげた巨人・杉内が、現役を引退した。12日には都内で会見を開いた。

 引退理由は「心から後輩を応援するようになった。勝負師として、違うかなと感じました」。まだユニホームを着ているのに、リハビリ生活で長い時間をともにした後輩たちを応援している自分に違和感を感じたという。

 このコメントを聞いて、杉内と一人の投手との話を思い出した。巨人のエース・菅野である。球界のエースとして先頭を走ってきた杉内に、いままさにその位置にいる菅野。杉内は05年、菅野は昨年、ともに投手として最高の栄誉である「沢村賞」を獲得している。

 杉内はかねてから「(菅野)智はとにかく器用。俺はあんなに変化球を投げられない。一つ一つも一級品で、えげつない球を投げる」と一目置いていた。親交も深く、頻繁に食事に出かける間柄だった。そんな後輩だからこそ。どうしても伝えたいことがあった。

 「顔に出すな」

 菅野に伝えた。調子が悪いとき。打たれたとき。味方の守備が乱れたとき。審判の判定が微妙だったとき。一試合の中に「えっ」と思う機会は多く潜んでいる。杉内は「智がチームの中心。その背中をみんなが見ている。一喜一憂することなく、エースとして堂々とした振る舞いをすることが大事。審判の方とだって良好な関係を築くのもプロとして大切なこと」と力説した。

 菅野は変わったという。「あれから顔に出さなくなった。言った途端、改善できる。感情のコントロールは難しいけど、やっぱり智はすごいよ」と杉内。菅野が勝ち星から見放されているときには、報道陣に向け「沢村賞投手は大変。7回3失点でも、まわりは評価してくれない。沢村賞投手の苦労は沢村賞投手にしか分からない」と語ったこともある。

 巨人の現状は厳しい。4位・DeNAと0・5差。Bクラス転落がすぐそこまで迫っている。打線が低調だ。12勝をあげ、防御率はリーグ1位の2・48を誇る菅野。残りの登板数は3試合か。今こそ、杉内からの金言も胸に、チームの危機を救ってほしい。

続きを表示

2018年9月20日のニュース