【中畑清 キヨシスタイル】パワハラ問題…暴力はダメ!でも情熱持つ指導者は必要

[ 2018年9月18日 09:43 ]

中畑清氏
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 次から次へ飛び出すスポーツ界のパワハラ問題が物凄く気になっている。暴力がダメなのは分かってるよ。でも、なんでもかんでも暴力だ、いじめだと決めつけていいものか。教育、しつけのために愛情を持って手を上げるケースもある。

 大事なのは手を出すにいたった理由。そして手を出された選手がどう受け止めているか。そこのところをしっかり精査してもらいたい。手を出したら一律アウトなんてことになったら、情熱を持った指導者はいなくなるんじゃないかという怖さを感じるんだ。

 私たちが育った時代は殴られて当たり前。ケツバットもされたし、ボールを足に挟んで正座させられたこともある。痛かったし、つらかった。でも、今では感謝の気持ちの方が強い。痛みをこらえることで我慢を覚え、どれだけ免疫力を高められたか。大人になってからどんな壁にぶつかっても乗り越えられる。

 スポーツ界全体も、信念と情熱を持って叱り、怒ってくれた指導者のおかげで成り立ってきたように思う。昭和のカリスマ指導者はみんな、今ならパワハラと指摘されてしまう指導をしていたはずだ。パワハラのないスポーツなんてなかったんじゃないかな。

 今やスポーツに限らず手を出す指導、教育は御法度。極論かもしれないけど、痛みを知らない若者たちがゲーム感覚で凶悪な犯罪に手を染める。そんな時代になりつつあるように思えてならない。

 物事の善悪や集団生活のルールを教えるのはスポーツが一番。先日、北海道の野球教室に呼ばれて「監督、コーチの皆さん、怒ること、叱ることをやめないでください」とお願いした。

 人間教育をしていく上でちゃんとした怒り方、叱り方がある。熱心なあまりつい手が出ることがあったとしても、指導者と選手の間にしっかりとした信頼関係があれば、暴力とは受け取られないはずだ。

 指導者が権力を誇示したりストレスを発散するための暴力か、正しい方向へ導くための指導か。その線引きは凄く難しいけど、情熱を持った指導者の道を閉ざすようなことがあってはならない。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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