イチロー 大谷20号に感じた「初めてホームランバッターが日本人で来た」

[ 2018年9月17日 05:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5―6マリナーズ ( 2018年9月15日    アナハイム )

<エンゼルス・マリナーズ>初回1死、中越え20号ソロを放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が15日(日本時間16日)、マリナーズ戦の初回に中越えへ20号ソロを放ち、日本選手では10年エ軍の松井秀喜以来2人目で、1年目に限れば初の大台に到達した。対戦試合で初めて本塁打を見たマ軍・イチロー球団会長付特別補佐(44)は、長距離打者として高く評価。ア・リーグの新人王争いでも存在感を増してきた。

 内角88マイル(約142キロ)のツーシームを引っ張らず、力みのないスイングで運んだ。初回1死。大谷の打球は見慣れた放物線を描き、中堅フェンスを越えた。今季初めて飛び出した、トラウトと大谷の2者連続弾。「イメージ通り打てたか」の問いに大谷は、らしく冷静に言葉を選んだ。

 「投手の持ち球、切れ、球速の中で出せる形の中での本塁打。今日の投手の対応的には良かった」。尊敬しているイチローがベンチ裏で見守る中、初めて放った本塁打が節目の20号となった。

 そのイチローは「初めてホームランバッターが日本人で来たな、という感じはします」と喜んだ。かねて「翔平はこっちでもホームランバッター。松井は中距離打者」と分析。根拠は打球方向だ。中堅から左方向の本塁打が60%を占める。「センター中心にあれだけの飛距離を出せる選手は、なかなかいない」と評価した。

 11日、現地テレビ出演時に告白した。オープン戦11試合で打率・125、長打ゼロに「凄くレベルが高いのは日々感じていたし、自信が少しなくなっている部分はあった」。そんな時にビリー・エプラーGMの「自分の才能への自信だけは失わないよう、自信を持っていてほしい」との言葉に救われたという。右肘じん帯の新たな損傷が判明後も、打者・大谷の凄みは増している。周囲の支えで気持ちを強く持ち続けることができたからだ。

 自身の成長を「一段上がるごとに、また次の課題が出る」と語るが、一気に何段階もステップアップすることも「後半戦は結構多い」と実感している。

 イチローの発言を受けて「自分ではホームランバッターだとは思っていないが、得点に絡んでいけるよう、一つの手段として数多く長打を打てればいい」と大谷。8月以降は11本塁打。新人王争いもし烈な中、残り13試合でスパートをかける。 (大林 幹雄)

 ▼日本ハム・栗山監督 自分からしたら、“まだ20号か”という感じ。高校生の頃から見ているけど、それくらいの能力があると信じていたし、今も思っている。

 ≪広角に打てる パワーと技術 ゴジラより上≫大谷と松井との本塁打の傾向の違いは打球方向にくっきり表れる。データサイト「ベースボール・レファレンス」によれば、松井のメジャー全175本塁打のうち、中堅から左方向は27本で、全体の15・4%。一方で大谷は20本中12本で、60%を占めている。04年に31本塁打を放つなど5度の20本超えを果たした松井よりも、広角に打てるパワーと技術を兼ね備えていることが14・0打数当たりに1本という、本塁打王クラスの本塁打率につながっている。

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