松坂“世代”に決意表明「もう少し頑張るよ」12年ぶり甲子園星

[ 2018年9月14日 05:30 ]

セ・リーグ   中日6―2阪神 ( 2018年9月13日    甲子園 )

初回、12年ぶりの甲子園で1球目を投じる松坂(打者は北條)(撮影・坂田 高浩)
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 中日の松坂大輔投手(38)が13日、阪神戦に先発し、5回1失点で6勝目を挙げた。38歳のバースデー登板となり、8月16日以来約1カ月ぶりの白星。横浜高時代に春夏連覇した甲子園での公式戦登板は西武時代の06年以来で、12年ぶりに甲子園で勝った。巨人・杉内俊哉投手(37)ら「松坂世代」の選手が相次いで引退する中で、世代のトップを走ってきた男が聖地で躍動した。

 甲子園のマウンドで松坂は右拳を握ってグラブを叩き、吠えた。5回2死二、三塁。前2試合で3本塁打していた大山を外角スライダーで空振り三振に斬った。単なる1試合ではない。幾重の思いを背負ってつかんだ今季6勝目だった。

 「村田、後藤、杉内が引退を決めた。彼らの分も気持ちを込めて、僕はもう少し頑張るよという決意表明の日にしたいと思った。スギ(杉内)も今日は見ると言ってくれたから、良い投球を見せられたらと思っていた」

 4回に1点を失い、ナバーロの打席でマウンドに左足を引っかけるアクシデントもあったが、ベンチから飛び出したトレーナーを制して5回を投げ抜いた。BC栃木の村田、DeNAの後藤、そして巨人の杉内と「松坂世代」が続々と引退を表明した。盟友たちの思いを背負い、気持ちを込めた95球だった。

 「甲子園球場が力をくれた」。公式戦では06年6月9日以来、実に12年ぶりとなる聖地で日米通算170勝目を手にした。この日は38歳の誕生日。2回の打席では左翼席からバースデーソングが奏でられた。最後は阪神ファンも含め球場全体から拍手が起こった。98年、横浜高時代の甲子園春夏連覇から20年。最速は144キロを記録した。2日の巨人戦での2回7失点KOからの変わり身。今季初の屋外球場登板は見えない力も加わった。

 「誕生日に甲子園で投げるのは2度目。20年前は完投できたけど、20年前のような投げやすさは感じなかった」と苦笑いしながら振り返ったのは、98年9月13日、第3回アジアAAA野球選手権の台湾との決勝戦だ。126球の熱投で9回1失点の完投。結果もスタイルも今は違う。この日は雨も降って足場も荒れた。しかし、時を経ても、甲子園は松坂に味方した。

 チームは5位に浮上し、この日敗れた3位・巨人に3ゲーム差と背中が見えてきた。

 「チームとして諦めてはいけないゲーム差ですし、最後まで望みを捨てず戦いたい」

 登板間には甲子園で戦ったPL学園のメンバーらとビアガーデンに出掛け、昔話に花を咲かせた。まだ終わらせない。世代の旗手はこれからも腕を振る。

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2018年9月14日のニュース