誠也弾 4番後継…魂の28号“新井さんを日本一に”

[ 2018年9月6日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3―11阪神 ( 2018年9月5日    マツダ )

<広・神>初回2死一塁、鈴木は左中間に2ランを放つ(撮影・坂田 高浩)
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 赤ヘルの4番は、いつの時代も逞(たくま)しい。新井から引き継ぐ形で4番を張る鈴木。5日の阪神戦(マツダ)では4点劣勢の初回2死一塁、2ボールから岩貞の直球を左翼席に強烈な打球で突き刺した。会心の当たりではなくとも悠々とフェンスを越える28号2ラン。ベンチで誇らしそうにみつめていた新井とハイタッチして、喜びを分かち合った。

 「勝ちたかったですね。詰まったけど、本塁打は本塁打なのでよかったです」

 会見では新井から「素晴らしいですよ」と手放しで評価された。何度も食事に向かい、膝をつき合わせての打撃理論に花を咲かせた。詳細は「言いたくない」と胸にしまう自分だけの財産。多くは語らなくても理想の4番像は“新井さん”だ。

 「自分を犠牲にしてでも1点でも取りに行く姿勢。自分を犠牲にするのはこの世界では難しい。いつか新井さんみたいな頼られる4番になりたい」。新井から学んだ姿勢は、打点と勝利にこだわる鈴木の理想とそのまま重なる。

 6回2死無走者では、丸が岩貞から左翼席へ大きな放物線を描く32号ソロを放って、一時2点差にまで迫った。「いいスイングができた。勝ちたいのはいつもと一緒。ただ別の感情もなくはなかった」。05年の本塁打王が来季から抜けることで、赤ヘルを背負うアーチストとなる2人。今季、鈴木と丸の競弾なら5戦全勝だった“神話”は止まり、チームの今季最長となる8連勝にも届かなかった。優勝へのマジックナンバーは「11」のまま。それでも鈴木は「僕たちはここまでできるようになりましたというところを見せて、日本一になりたい」と言うように、決意を新たにした一日。新井さんを日本一に――。悲願に突き進む赤ヘルに新たな合言葉が加わった。

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