ヤクルト小川監督「奇跡」9回6点差追いつき…“スーパーサブ”上田神風弾

[ 2018年9月5日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト12―9中日 ( 2018年9月4日    神宮 )

<ヤ・中>11回、サヨナラ本塁打の上田(左端)はナインの出迎えを受けて生還  (撮影・大塚 徹)
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 ヤクルトが4日の中日戦で大逆転劇で連敗を3で止め、勝率を5割に戻した。9回に打者11人の猛攻で同点に追いつく驚異的な粘りで延長戦に持ち込むと、11回に途中出場の上田剛史外野手(29)が12年目で初のサヨナラ弾となる1号3ランを右中間席に運んだ。台風21号の影響で強風が吹き荒れた試合。最後に追い風をつかみ、3連敗でストップ。勝率を5割に戻した。

 試合後の小川監督の言葉が全てを物語っていた。「凄かったね。奇跡のような試合だった」。執念でもぎ取った勝利に、興奮が冷めなかった。

 フィナーレは9―9の延長11回2死一、二塁。途中出場の上田が右中間席へ3ランを叩き込んだ。人生初のサヨナラ本塁打に「最高です。本当にうれしい」と喜びを爆発させた。これまで好機での凡退も多く消極的になりがちだったが「積極的に」と心掛けた。そして生まれた2年ぶりの一発に「完璧です。芯できっちり捉えられた」と打った瞬間、両手を突き上げた。

 今季82試合目の出場だが、スタメン出場は1試合のみ。ベンチで毎試合声をからし、貴重なスーパーサブとしてチームを支えている。本拠地では常に、約1時間の早出練習でバットを振り込む。指揮官も「代打、代走、守備固めと貴重な存在。毎日一生懸命やっているのが結果として出たのはよかったし、大きいね」と目を細めた。

 中堅方向に風速10メートル超の強風が吹き荒れる本拠地で2回までに6点を奪われ、3連敗中のチームは沈みかねない状況だった。しかし諦めない姿勢を示し、3―9の9回には6点差を追いつく執念を見せた。無死一塁から代打・武内の4年ぶりの本塁打を号砲に、つなぎにつないで打者11人で7安打を集中させた。「この風が(相手に)非常にプレッシャーになったことは事実だと思う。だが、それも走者がたまったから。みんなよく食らいついてくれた」と指揮官。最後に追い風が吹いた。

 連敗を3で止め、勝率を5割に戻した。小川監督は「誰がと言ったらキリがない。みんながよかった」と全員を称えた。まさにチーム一丸。台風21号の接近で大荒れだった神宮に、劇的すぎる1勝が刻まれた。 (町田 利衣)

 ≪もしそのままサヨナラなら≫ヤクルトが最大6点差をひっくり返してサヨナラ勝ち。ヤクルトの6点差以上の逆転勝ちは17年7月26日の中日戦で0―10→11―10とプロ野球タイ記録の10点差逆転勝利して以来だ。この日のヤクルトは3―9の9回裏に6点奪い同点としたが、もしそのままサヨナラ勝ちしていれば、93年6月5日ダイエー戦で近鉄が9回裏に2―8→9―8として以来、25年ぶり2度目のプロ野球最大の9回裏逆転サヨナラ劇となっていた。

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